屋久島で初めて見つかった植物「ヤクシマソウ」

 植物の中には、光合成をやめ、カビなどの菌類に寄生して一方的に栄養を搾取するもの(菌従属栄養植物)が存在します。しかしそのような植物は小さく、花を咲かせる時期と実をつける時期にしか地上に姿を現さないため、正確な分布情報はあまり解明されていません。

 末次特命講師は、日本国内での菌従属栄養植物の分布や分類体系の整理に取り組んでおり、2015年10月、屋久島の低地照葉樹林で写真家の山下大明氏と調査を実施し、未知の菌従属栄養植物を発見しました。標本を持ち帰り、東京大学大学院理学研究科の塚谷裕一教授、東北大学植物園津田記念館の大橋広好名誉教授と形態的特徴を精査しました。

 その結果、全長5センチメートルほどの植物は、ホンゴウソウ科のホンゴウソウに近縁だが、地上部全体が黒紫色である点、雄花の花糸が葯の高さを超えない点、雌花の花柱が棍棒状で多数の乳頭状突起をもつ点でホンゴウソウと異なることがわかり、発見場所の地名を冠して、「ヤクシマソウSciaphila yakushimensis Suetsugu, Tsukaya & H.Ohashi」と命名しました。

 菌類に寄生するヤクシマソウが生育しているということは、我々の目には見えない共生菌のネットワークが屋久島の低地原生林に息づいていることをあらわしています。末次特命講師は、「屋久島では縄文杉などにばかり主な関心が払われるが、今回発見された場所は森林伐採可能な区域。豊かな森とそこに住む菌類にささえられたヤクシマソウの発見は、屋久島の低地原生林の貴重さを再認識させるものだ」と話しています。


ヤクシマソウの雌花(左)とホンゴウソウの雌花(右)。ヤクシマソウの雌花は、花柱が棍棒状で多数の乳頭状突起を持つ
ヤクシマソウの雄花(左)とホンゴウソウの雄花(右)

掲載雑誌

The Journal of Japanese Botany

掲載論文

Suetsugu K, Tsukaya H, Ohashi H (2016) "Sciaphila yakushimensis (Triuridaceae), a new mycoheterotrophic plant from Yakushima Island, Japan." Journal of Japanese Botany, 91: 1-6.

関連リンク

(理学研究科、広報課)