経済学研究科の橋野知子教授がトリーア大学で講義を行いました

2019年07月23日

神戸大学とトリーア大学(ドイツ)の間で締結されたErasmus+のスタッフ交流プログラムに基づき、経済学研究科の橋野知子教授が2019年6月28日から5日間訪問し、経済学の学部生向けに「Economic History of Modern Japan」と題した講義を行ないました。

神戸大学とトリーア大学は2015年6月2日に大学間学術交流協定を、2015年11月2日に学生交流実施細則を締結し、人文・社会科学系分野において活発に学術交流と学生交換を行ってきました。Erasmus+には2017年から参画しています。

今回の訪問を受けてトリーア大学と神戸大学の更なる教育・研究面での交流が期待されます。

~ 橋野教授トリーア大学滞在記 ~ 

ドイツの南西部に位置するトリーアは、2000年も前から人が住んでいたという歴史ある街で、ルクセンブルグ空港から車で30分ほどのところにあり、ローマン・キャソリックの影響が、街の至るところに存在しています。街の中心から車で20分くらいのところにあるトリーア大学経済学部は、静かで勉強するのに最適な環境です。

ふだん、外国人向けに英語の講義をしているので、日本について多くを知らない受講生に経済史を話すのは慣れているのですが、受講生が1回生でしたので、アニメや漫画だけではない日本の文化についても話しました。日本には、西洋との折衷型の食事が多いこと(ハンバーグ定食など)、いろんな宗教行事があること(神道の七五三や初詣、キリスト教のクリスマスなど)など、私たちが自然と思っていることが、受講生には新鮮に映ったようです。

講義の内容は、日本の経済発展の中でも江戸時代からの遺産や西洋からの技術・教育の導入が果たした役割を中心に講義しました。私自身も再認識したのは、ヨーロッパの中でも後発国であったドイツが教育や工業政策に力を入れていたことが、日本に大きく影響していた点です。有名な岩倉使節団もドイツを訪れています。「日本はドイツに多くを学びました。そのことのお礼が言いたくて、日本からやってきたのです」と言ったら、ドッと笑いが出ました。

私の受け入れをしてくださった経済学部のマツケ教授は、アメリカのウィスコンシン・マディソン大で博士号を取得し、かつてはコネティカット大学で教鞭を取っておられました。名高い学術雑誌に研究論文を発表しておられる、国際貿易の分野の優秀な研究者です。写真にあるように、コロッキアム(研究会)のオーガナイズも積極的にしておられました。私の滞在中、新進気鋭の若手研究者のウインクラー博士が学外から来られて、コロッキアムが開催されました。報告の内容は、輸出入が盛んになったときに、国内の製造業とりわけ労働者がどのような影響をうけるか、という今日的なもので、大変刺激的でした。

私のコロッキアムでは、現在研究を進めている近代日本における西陣・桐生・福井の比較発展論を話しました。マツケ教授が、歴史学部の先生方に声をかけてくださって、著名なヒストリアンであるルッツ・ラファエル教授をはじめとするヒストリアンが多く参加してくださいました。さまざまなコメントや質問から、日本的な話を一般化するためには、もっともっと研究が必要だと痛感しました。

また、論文指導では、日本語・日本研究をマイナーとしている学生から、日本語と英語とで質問を受けました。日本の高度成長期における出稼ぎをテーマに論文を書きたいが、どのように資料を探せばいいのかという質問でした。彼女は、ポーランドからの留学生で、日本語を含め6カ国語を話すそうです。本学、特に経済学部の学生も、協定校であるトリーア大学で、いろんな国から来た学生と接したら、もっと視野や可能性が広がるだろうと思いました。マツケ教授は、将来的には神戸の経済学研究科とダブル・ディグリー(修士・英語コース)の協定を結びたいと話しておられました。

ところで、ドイツにおいて大学で講義や報告に対して賞賛を表すときは、拍手ではなく机を拳で叩くのだそうです。講義でも、コロッキアムでも、終わりの時にはすべての人が拳を叩いてくれて、うれしかったです。また、研究・教育をベースとした交流のために、訪れてみたいです。

(国際部国際企画課)