「分野の多様性、組織のゆとりが大事」 武田廣学長が退任講演

2021年03月25日

2021年3月末で神戸大学長を退任する武田廣学長の記念講演会が3月18日、出光佐三記念六甲台講堂で行われました。新型コロナウイルス感染症対策として、リモートを中心に約70人の教職員らに、神戸大学での32年間を振り返りながら、「大学の置かれている状況は今後さらに厳しくなるが、医学研究・診療を通じたコロナ対策をはじめ、分野の多様性、組織のゆとりを大切にし、グローバルな課題解決に貢献してほしい」と期待を述べました。

武田学長は1989年神戸大学理学部教授に就任し、高エネルギー物理学(素粒子実験物理学)の研究などに取り組みました。大学院修了後ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊博士から「世界最高エネルギーの電子・陽電子実験に参加しないか」と誘われ、ドイツやスイスでの国際共同実験に従事したことや、素粒子物理学者として得た教訓として、2,3年での短期的成果を求めず、間違いなく成果が出る研究と何がでるかわからない研究を併用するよう訴えました。

「ミクロの世界(素粒子)とマクロの世界(宇宙)が関連していることから素粒子がわかれば宇宙が理解できる」と素粒子物理学の奥深さを解説し、後輩の研究者に「若いときに世界を見ておくべきである。ときに強運も必要である」と呼びかけました。

2015年4月の学長就任以降の2期6年間の実績として、「科学技術イノベーション研究科、国際人間科学部、海洋政策科学部の設立」、「数理データサイエンス教育の充実」、「学長のリーダーシップの確立」を挙げました。

理系の先端技術と文系の社会実装の融合を目的とした2016年の「科学技術イノベーション研究科」、学部におけるグローバル人材養成のけん引を目的とした2017年の「国際人間科学部」、高度海技士、海洋科学、海洋政策の3本柱を目的とした今年4月設立の「海洋政策科学部」について詳しく話しました。

「数理データサイエンス教育の充実」では、2017年に数理・データサイエンスセンターを設置し、Society5.0を牽引し、データから価値を創造する人材の育成、産業・実社会と緊密に連携した先端研究・文理融合研究を推進するとともに、数理・データサイエンス教育の充実のための取組成果を全国へ波及させるための活動を推進し、数理・統計・情報を基盤として未来世界を開拓できる人材の育成を目指している、と設立の思いを振り返りました。

最後に、「新型コロナウイルスと大学」と題して新型コロナウイルス感染症対策における本学の取組を挙げ、「最後の1年間はコロナ対策に忙殺された。日本社会の弱点が多々表れた1年だったと思う。今後留学生受け入れ、学生の海外派遣、研究活動などの再構築が必要。教育では対面とオンラインのハイブリッドを模索せざるを得ない。大変な状況が続くが、今後も高い付加価値を生み出す国立大学として挑戦し続けてほしい」と呼びかけ、締めくくりました。

武田廣 神戸大学長 退任記念講演会(神戸大学公式YouTubeチャンネル)

(総務部広報課)