「コロナ禍でも難病の子どもたちが治療を受けられる環境を」日本IDDMネットワークから医学研究科へ1000万円の研究助成金が贈呈されました
2022年01月06日
認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク(以下、日本IDDMネットワーク)は佐賀県庁への日本IDDMネットワーク指定ふるさと納税を活用したクラウドファンディングを行い、「コロナ禍でも難病の子どもたちが治療を受けられる環境をー日本の臨床医たちの挑戦2ー」と題した支援を呼びかけました。2021年11月14日にクラウドファンディングは終了し、297名の支援者から1,000万円を超えるご寄付をいただきました。このご寄付を財源として、神戸大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌内科学部門の廣田勇士准教授の「1 型糖尿病患者のための遠隔医療システムの開発」に対し、1,000万円の研究助成金が贈呈されることになりました。

令和3年12月28日に神戸大学医学研究科でオンラインと対面のハイブリットで開催された贈呈式には、日本IDDMネットワークから井上 龍夫 理事長、本学から眞庭 謙昌 医学部附属病院長、医学研究科糖尿病・内分泌内科学部門 小川 渉 教授、医学研究科糖尿病・内分泌内科学部門 廣田 勇士 准教授が出席しました。
贈呈式では、井上理事長から1,000万円の研究助成金目録が廣田准教授に贈呈され、眞庭病院長と小川教授から研究助成への謝辞が述べられました。
引き続き行われた記者会見では、井上理事長より日本IDDMネットワークの活動について説明があり、その後、廣田准教授より「1型糖尿病患者のための遠隔医療システムの開発」について説明がありました。
1型糖尿病を発症すると血糖値を下げるホルモンであるインスリンが分泌されなくなるため、注射やインスリンポンプを用いてインスリンを補充し、血糖値がなるべく目標範囲内に収まるようコントロールする必要があります。血糖コントロールがうまくいっているかを知るための指標としてHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が現在使われていますが、病院へ行って血液検査を受けることが必要なため、COVID-19に伴う緊急事態宣言の期間中にHbA1cを測れない患者さんがたくさん生じて、大きな問題となりました。そこでこの研究では、持続血糖測定器(CGM: continuous glucose monitoring)から得られる「新しい血糖コントロール指標(CGM指標)」を用いて、HbA1cを測らなくても、低血糖や高血糖の少ない質の高い遠隔医療が受けられるシステムの有効性と安全性を詳しく調べます。

本研究の結果は、どのようなタイプのCGMを使っているかを問わず、多くの1型糖尿病患者さんに役立ち、糖尿病の治療成績が良くなることが期待され、14医療機関18名のプロジェクトメンバーの協力のもと研究が進められています。また、CGMの解釈(読み方)が標準化され、通院先の医療機関を問わず、今まで以上に低血糖、高血糖が少ないコントロールを得られること、さらに、さまざまな理由で病院受診が困難な状況でも、管理栄養士から良質な遠隔サポートを受ける機会が増えることが期待されます。
廣田准教授は「本プロジェクトにより、1型糖尿病患者の方がどこにいても、安心して治療が続けられる環境が整うことを目指したい。」と述べました。
関連リンク
- 神戸大学医学研究科糖尿病・内分泌内科学部門HP
- 神戸大学にて佐賀県庁への“日本IDDMネットワーク指定”ふるさと納税による研究助成金(1,000万円)の贈呈式を実施しました。(日本IDDMネットワークHP)
- 日本IDDMネットワーク:全国の1型糖尿病患者・家族が中心となって1995年に創立した団体で、2005年の1型糖尿病研究基金設立後これまで103件、5億1250万円の1型糖尿病の根治、治療、予防に関する研究費支援を行っています。
(医学部総務課)