[内海域環境教育研究センター/理学研究科] 北場育子特命助教らが、地磁気逆転にともなう気候の寒冷化の研究成果を発表しました

2013年1月8日

所属・職・氏名
内海域環境教育研究センター/理学研究科 特命助教 北場 育子
論文タイトル
Mid-latitude cooling caused by geomagnetic field minimum during polarity reversal
著者
Ikuko Kitaba, Masayuki Hyodo, Shigehiro Katoh, David L. Dettman, Hiroshi Sato
学会誌等
Proceedings of the National Academy of Sciences誌
Published online before print January 7, 2013
doi: 10.1073/pnas.1213389110
概要

内海域環境教育研究センター/理学研究科の北場育子特命助教、兵頭政幸教授らの研究グループは、大阪湾堆積物コアの花粉化石と古地磁気などを調べ、地磁気逆転にともなう気候の寒冷化に関する研究成果を米国科学アカデミー紀要に発表しました。第四紀の気候は、寒冷な氷期と温暖な間氷期を繰り返してきました。間氷期には、通常、氷床の融解とともに海面上昇が起こり、このとき、気温は上昇しています。しかし、地磁気の逆転が起こった107万年前と78万年前の間氷期では、海面上昇のピーク付近で気温が1~3℃低下する寒冷化が約5000年にわたって起こっていました。その寒冷化の期間は逆転途中の地磁気強度が40%以下に減少した期間と一致しており、逆転終了後、地磁気強度の回復とともに気温が一気に上がり、最温暖期を迎えました。地磁気強度の変化から、同寒冷化の期間には、銀河宇宙線量が40~90%増加したと、見積もることができます。このことから、北場特命助教らは銀河宇宙線の増加による低層雲の増加 (スベンスマルク効果) が日射をさえぎり (日傘効果)、寒冷化をもたらしたことを示唆しました。

18世紀以降の地球温暖化の主な原因として、1) 産業革命以降、化石燃料の燃焼で大量のCO2が排出されつづけ大気中のCO2濃度が増加したことによるという説と、2) 太陽活動の活発化で宇宙線の遮蔽効果が増強され、太陽系に入射する銀河宇宙線量が減少し、地球の低層雲が減った (日傘効果が弱まる) ことによるという説、2つの説があり、科学的には未解決です。地質時代の気候において、銀河宇宙線の増加によって引き起こされた可能性の高い寒冷化が発見されたことは、現在劣勢にある 2) の重要性を訴える結果となります。

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