神戸大学

第129回 都市安全研究センター・オープンゼミナール

2009年07月18日

神戸大学の都市安全研究センター (RCUSS) では、「オープンゼミナール」として、市民 (たとえば自主防災組織、ボランティアなどで活動されている方や安全に関心のある方々)、専門家 (たとえば都市計画、建築、消防、防災機器、防災システムほか) の方々を対象として、都市安全研究センターで実施している研究の発表を行うと共に、関連する研究で外部から講師をお招きして話題提供していただき、参加者をまじえて議論をする場としています。

参加費は無料で、事前申し込みも不要です。どうぞご自由にご参加ください。

日時
平成21年7月18日(土) 14:00~17:00
場所
神戸大学工学部 C2-101 1F
http://www.research.kobe-u.ac.jp/rcuss-usm/muropen/index.html
内容
1) 密集市街地における延焼リスクと住民意向を考慮した街区環境のあり方に関する研究
-豊中市庄内地域におけるまちづくり計画策定過程を通じて-

田中悠介 (工学研究科建築学専攻院生)
2) 減災政策論入門: 巨大災害リスクのガバナンスと市場経済
永松伸吾 (人と防災未来センター研究副主幹)
内容のご紹介
1) 密集市街地における延焼リスクと住民意向を考慮した街区環境のあり方に関する研究

本研究では、大阪府豊中市庄内地域のある自治会で行われている「まちづくり専門部会」に研究室から参加し、住民意向の把握のため地域の特性、現状のまちの評価、これからのまちづくりに対する意向についてアンケート調査し、住民の考える地区の問題として、老朽建物の整備と車両通行可能な道路の整備が挙げられ、建物更新については戸建住宅、もしくは低層賃貸住宅による更新意向が強いということを明らかとした。続いて、上記のアンケート調査によって挙げられた住民意向による「まちの将来像」を反映した仮想市街地について、延焼シミュレーションを用いた延焼リスク評価を行い、現在の市街地における延焼リスクとの比較を行っている。その結果、建物構造を木造から準耐火造に変更することにより、延焼リスク評価で約40~50%の低減がみられ、また、地域の特性として挙げられる「行き止まり道路」の解消を行った結果は、延焼リスク評価で約10~20%の低減がみられた。一方、今後同地域では現状と同じ更新傾向が続くと仮定して戸建住宅戸数が増加していくものと考え、15年後の仮想市街地の延焼リスク評価を行うと、建て詰まりが増加するため延焼リスクは悪化することを示した。

2) 減災政策論入門: 巨大災害リスクのガバナンスと市場経済

永松伸吾氏は、専任研究員として人と防災未来センターに在籍された2001年度~2006年度の研究成果を中心として、 著書『減災政策論入門: 巨大災害リスクのガバナンスと市場経済』(弘文堂)をまとめられ、2009年6月13日、日本公共政策学会から日本公共政策学会著作賞を授与されました。内容は、序:防災対策から減災政策へ、第1章 減災政策の基本的視点、第2章 災害と経済システム、第3章 地域防災、第4章 巨大災害に向けたガバナンスの課題、からなります。本講演ではその中心的な論点について紹介していただきます。

お問い合わせ先
TEL: 078-803-6440 (都市安全研究センター 北後)
http://www.research.kobe-u.ac.jp/rcuss-usm/muropen/index.html

(都市安全研究センター)