神戸大学

第195回 都市安全研究センター (RCUSS) オープンゼミナール

2015年03月21日

都市安全研究センター (RCUSS) オープンゼミナールは、広く社会に都市安全研究センターの活動を広く公開するとともに、関連する各分野の皆様からの報告を通じて、安全な社会としていくための研究や実践のあり方を議論しています。大学の教職員・学生のほか、安全・安心に関心を持つ市民の方々や、コンサルタントなどの民間企業の方々、自治体の消防・建築・地域関係の職員の皆様などが参加されています。

参加費は無料で、事前登録不要です。ご興味のある方は遠慮なくご参加ください。

開催概要

日時
2015年3月21日(土) 14:00~17:00 (開場 13:30)
会場
神戸市役所4号館 (危機管理センター) 1階会議室
(所在地: 兵庫県神戸市中央区江戸町97-1、TEL: 078-322-5740)
司会
神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦
主催
神戸大学都市安全研究センター
共催
神戸市消防局
後援
兵庫県
お問い合わせ先
神戸大学都市安全研究センター
(所在地: 兵庫県神戸市灘区六甲台町1-1、TEL: 078-803-6437、FAX: 078-803-6394)
詳細情報
神戸大学都市安全研究センター RCUSSオープンゼミナール

プログラム

  1. 台南市における文化ゾーンの火災安全の現状と課題
    邵 珮君 (長栄大学副教授)

    台南市は台湾ではもっとも古い都市です。17世紀のオランダ統治、18世紀の明 (鄭成功時代) と清代、19~20世紀の日本植民地時代の統治を経て、多様な文化遺産と歴史街道が残っています。文化の特殊性と地区の発展機能にあわせて市内では幾つの文化ゾーンに分けられていますが、古い建物と文化財は文化ゾーンに集中しており、この古い建物等が集中した地域の火災安全を、いかにはかるかが重要な課題となっています。

    本講演では、台南市の赤崁と五条港文化ゾーンの歴史ブロックを取り上げて、コミュニティにおける火災安全の現状や火災リスクを明らかにしながら、簡易消防技術の応用、及び、文化財所有者、消防、文化財管理者、地元の住民とのリスクコミュニケーションによって、文化ゾーンの防火対策を検討してきたことに重点をおいて紹介します。

  2. イベント安全対策の具体的・実戦的な指針づくり 明石市民夏祭り花火大会歩道橋事故を風化させるな!!
    貝辻 正利 (セキュリティ・アドバイザー代表,神戸大学大学院工学研究科研究員)

    明石市民花火大会歩道橋事故の悲劇から14年を経たが、未だ強制起訴による最 高裁での裁判が継続しておりこの間の社会的・経済的損失は計り知れない。なにより、最愛の我が子や親を亡くした遺族の思いがある中、未だイベントの安全対策を確立できないイベント業界の現状に耐えがたい失望感が否めない。21世紀を迎えて、デュイスブルクLove Parade雑踏事故(2010年、犠牲者21人)、ブノンペン水祭り雑踏事故 (2010年、犠牲者347人) 、2015年を迎える上海外灘では、カウントダウンイベントで犠牲者36人、重軽傷者42人の雑踏事故発生している。わが国では事故に至ってはいないが東北六魂祭 (2011年仙台) 、TOKYO HIKARIVISION (2013年東京駅前) 、記念Suica販売 (2014年東京駅) など危険を回避するためにイベントを中止する事案が発生している。

    いずれのイベントも、過去の犠牲者を伴う雑踏事故の悲劇の教訓が活かされず、明石市民夏祭り花火大会の悲劇も風化していると考えられ、 2020年オリン ピックに向けてイベント開催の機運が高まる中で雑踏事故の悲劇が繰り返されないかと懸念している。これらの雑踏事故や危険を回避するために行事の中止が繰り返される要因は、イベント安全に関する具体的で実戦的な指針が明確に示されていないことが大きな要因であると考えている。

    そこで、雑踏事故の発生メカニズムと事故要因を明らかにし、現場に即した具体的・実践的な「イベント安全方策」を提起した。提起したイベン ト安全対策 の普及を図るために、わが国のイベント関係団体であるイベント学会・日本イベ ント産業振興協会・全国警備業協会に働き掛けた結果、 「イベント安全ノー ト」に取りまとめて今後の「イベント安全の指針」とすることになった。

    イベント安全対策の指針の骨格は、イベント計画策定段階では主催者・イベント企画者・自主警備・警察・消防機関等による「安全対策視点での 会場適性評価」の総合検討を行うことであり、イベント実施段階では主催者を中心にイベント関係団体の「情報の共有と連携活動」「経験と知見に裏打ちされた組織機能の発揮」がなされることである。本書「イベントを安心して楽しんでいただくために」(2014年7月講談社エディ トリアル発行、貝辻正利著) は、海外でも高く評価され、台湾の2イベント団体が本年4月に中国語版の発行を予定するなど反響を呼んでいる。

(都市安全研究センター)