神戸大学

シンポジウム「阪神大震災をふまえた防災教育の未来」を開催しました

2009年01月19日

シンポジウム「阪神大震災をふまえた防災教育の未来」

都市安全研究センターは、神戸発の防災教育の最新の現状と、今後の防災教育のあり方を考えるシンポジウム「阪神大震災をふまえた防災教育の未来」を、1月10日、神戸市教育会館で開催しました。本シンポジウムは、平成17年度に採択された文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プログラム「震災教育システムの開発と普及」事業が今年度で終了するのにともない、その総括とそれをふまえた防災教育の今後のあるべき姿を展望するために開催されました。会場では約100名が耳を傾け、震災から14年目を迎える今、防災教育のあり方を問うこのようなシンポジウムを開催することを歓迎する声や、報告者への質問が飛び交うなど活発なシンポジウムとなりました。

基調講演では日本災害復興学会長の室崎益輝関西学院大学教授 (写真下) が「防災教育の課題と未来-災害文化の形成に向けて-」と題して、「災害に強いひとづくり」が防災の原点であるとの観点から、通り一遍なハウトゥものではない臨機応変さ、柔軟な思考法を養成する防災教育の重要性を訴えました。

日本災害復興学会長・室崎益輝関西学院大学教授

報告では有木康雄センター長が神戸大学の震災教育の取組と、それを震災公開コースウェアとして今年度中にネット配信する構想について報告しました。また、神戸市で防災副読本「幸せ運ぼう」の作成に従事した平山直樹先生 (神戸市立小部東小学校長) は、都市安全研究センターと神戸市、読売新聞、読売テレビと共同制作した「ビジュアル版 幸せ運ぼう」の内容について報告しました。さらに、この教材が被災地の外で活用された事例報告を枚方市立楠葉中学校の糸井賢次先生が行い、被災地・神戸から生まれた防災教育の芽が、全国へと広がっていく様子がうかがい知れる内容となりました。

パネルセッションでは、岩崎信彦名誉教授のコーディネートの下、センターから田中泰雄教授が防災教育において目指すべき人間像などについて問題提起しました。 これを受けて行政、報道、NGO、大学それぞれの立場から各々の実践に基づいた討論が展開され、現場での体験を通じた人間的成長が防災教育の要となるという点で多くのパネリストの意見が一致しました。

シンポジウムの模様は今年度中に報告書として刊行するとともに、映像をネット配信することになっています。

(都市安全研究センター)