神戸大学

震災15周年記念連続講座第1回「記者ときどき被災者~災害復興事始め」を開催しました

2010年05月24日

4月21日 (水)、国際文化学部の教室で、講演会「記者ときどき被災者~災害復興事始め」を実施しました。都市安全研究センター・学生ボランティア支援室主催の震災15周年記念連続講座「阪神・淡路大震災と私のターニングポイント-3つのキーワードでたどる」の第1回目となります。この連続講座は、日本災害復興学会と共催しています。

関西学院大学災害復興制度研究所の山中茂樹先生をお招きして、朝日新聞神戸支局時代に阪神・淡路大震災と遭遇してから、ジャーナリストの目から災害をテーマに取材を続けてこられた経験をお聞きしました。今回の3つのテーマは「被災者責任」「人間復興」「事の支援」でした。

山中先生は、大阪の自宅で被災。交通機関も麻痺する中なんとか神戸支局までたどりつき、取材活動を始めました。最初にたどりついた時、三宮は街中を土埃が舞い、しーんとしていてまるでゴーストタウンのようだったそうです。震災報道に携わりながら、実は21年前に神戸で直下型地震が起こる可能性があると報道されていたことを知り、自分たちが何も勉強していなかったことを痛感されたとのことです。

震災後、「公的補償を求める有志の会ニュース」第1号の巻頭言に、神戸大学の松村直人さんが「私たち被災者にはその体験を、全国に、次世代に伝えていかないといけないのではないか」と、「被災者責任」について触れる文章を書かれたそうです。山中先生はとても共感し、その時から「被災者責任を共に負う」と、第一人称で記事を書くということを決め今日にいたります。

震災15周年記念連続講座第1回

その後被災地の復興の問題にずっと携わり、被災者の住宅の公的補償を求め、 それが被災者生活再建支援法の制定、改正につながりました。また、人口や県民所得や空き地率を指標とした「都市復興」ではなく、被災者に寄り添い、人と人とのつながりなど違った指標を持つ「人間復興」の重要性を訴えてこられました。今後、首都直下地震も予想される災害多発時代に対応するためにも、そういった発想の支援が一層求められます。

参加した学生からは「なかなか聞けない、報道の視点から見た震災や、災害がジャーナリズムに与えた影響など聞けて良かった」などの感想が寄せられました。

この連続講演会は6月~12月まで数回開催予定です。次回以降の日程は、また決定次第お知らせいたします。

(都市安全研究センター学生ボランティア支援室)