神戸大学

四川地震・青海省地震の復興に関する報告会を開催しました

2010年11月22日

四川地震・青海省地震の復興に関する報告会を開催しました

四川大地震から約2年半、青海省地震から約1年が経とうとするなか、都市安全研究センターでは、11月13日、災害復興報告会「四川大地震・青海省地震復興のその後~学生調査の視点をまじえて」を約50名の参加者をえて開催しました。

報告会ではまずセンター客員教授・北京清華都市計画設計研究院公共安全研究所所長の顧林生先生から、二つの地震における復興の現状と課題、日中の防災協力のあり方などに関して基調講演がありました。とくに中央政府の掲げる復興目標と現場の実態とのギャップなど、政府方針、国家基準と現場との様々なギャップが課題として提示されました。

四川地震・青海省地震の復興に関する報告会を開催しました

続いて、四川地震の三日後から被災地に入ったCODE海外災害援助市民センターの吉椿雅道さんからは、このたび現地調査に入ったばかりの青海省地震の最新の現状について報告がありました。長い冬ゆえに住宅再建が一年のうちで短い期間とならざるをえないという過酷な復興状況があるなかで、現地の生活のありように根ざした復興支援プロジェクトの報告がなされました。

今回の報告会では、センターが本年3月と9月の二回にわたって、社会基盤施設関係の復興、社会システム関係の復興、コミュニティー・ボランティア関係の3分野について、日中両国の学生の参加を得て実施した学生調査の報告もなされました。調査チームから各分野の三名の学生による報告がありました。社会基盤施設の視点からは、復興住宅が、地震前と同様の構造的問題をかかえたまま再建されているという問題点が、社会システム関係の視点からは、防災教育の現場のニーズはあるが何を教えればいいのかわからないという現状が、ボランティアの視点からは、政府の規制が強い中で中国のNGO自身が実力をつけていくことの必要性が訴えられました。

四川地震・青海省地震の復興に関する報告会を開催しました

パネルディスカッションでは兵庫県企画県民部防災企画課防災事業係長小山達也さん、JICA兵庫国際/防災研修センター調査役細川幸成さん、アジア防災センター主任研究員藤枝誠さん、国連地域開発センター防災計画兵庫事務所研究員斉藤容子さん、都市安全研究センター藤永隆准教授から、今回の神戸大学の学生の取り組みと報告、日中学生の防災における交流が、高く評価されました。今後も学生の主体的な国際交流と、多様な分野が交流しながらのフィールド調査の重要性が確認されました。

報告会の内容は報告書として刊行する予定です。

(都市安全研究センター)