神戸大学

阪神・淡路大震災16周年記念講演会 神大生へのメッセージ「生きてこそ~1.17を忘れない」を開催しました

2011年01月20日

生きてこそ~1.17を忘れない

1月12日(水)、国際文化学部M202教室にて、標記の企画を開催しました。都市安全研究センター学生ボランティア支援室と神戸大学ニュースネット委員会の共催です。

講師は、兵庫県佐用郡佐用町で小学校の教諭を務められてきた、上野政志さん。当時、発達科学部2年生で20歳だった長女・志乃さんを震災で亡くしました。また2009年8月の佐用町水害では、教え子さんたちが命を落としました。

そんな上野さんの講演のテーマは、災害というカテゴリーに収まりきらない、生命とは何かというきわめて深遠な内容でした。志乃さんは2日後に成人式を控えていたそうです。授業で提出したレポートには「家族は絶対的なもの」と書いていたそうです。そんな娘さんの突然の死という不条理を、「逆縁」という言葉で表現されました。親は一生、悲しみから逃れられない、だからみんなに忘れないでいて欲しいと訴えられました。上野さんは現在、いくつもの社会活動に携わっておられるとのことで、お話の内容も多岐にわたりましたが、いずれの内容も、生命 (人間に限らず) を大切にするという姿勢が滲み出ていました。生と死という、言葉だけでは表現しきれないものを、もどかしいながらも何とか次世代に伝えていきたいという、いかにも教育者らしい上野さんの姿を見ることができました。

生きてこそ~1.17を忘れない

参加者は、学生、卒業生、報道関係者など合計31名。参加者から回収したアンケート用紙は、どれも感想欄に字がびっしりと書き込まれていました。「『物のように扱われる遺体』の体験談に考えさせられた」「生きていることの実感を意識しながら生きていこうと感じた」「“話を聞ける”人になりたい」「(話を聞くことで) 理解はできなくても、受け止めることはできるのだと気付かされ、救われた気がした」などの感想が寄せられました。

(都市安全研究センター学生ボランティア支援室)