「神戸大学グローバルリンク事業」の一環として、神戸大学グローバルリンク・フォーラムが1月22日から3日間にわたって、初めてバンコクで開催されました。
同フォーラムの主な目的は、神戸大学が、2001年より留学生センターを中心に海外在住の卒業生 (日本人/留学生) との絆をより深めるために「海外同窓会ネットワーク構築事業」に取り組んできた成果を活かしつつ、神戸大学そのものが海外の卒業生等ともより積極的に連携協力して、学長自らが海外に赴き「神戸大学ブランド」をアピールして本学のプレゼンスを高めることにあります。今回は、タイの学術交流協定校と連携し、「タイ神戸大学同窓会」との共催で、本学における学術研究の成果や教育研究活動等を広く発信するとともに、研究者・学生交流の促進を図る大きなきっかけを創ることができました。
まず初日の第I部は、シェラトンホテルのボールルームにDr.Ampol Senanarong (タイ国王特別顧問) 閣下をはじめ、本学の協定大学の学長らをお招きしました。同時に日本国側からは諸機関を代表して、在タイ日本大使館の小島誠二特命全権大使にもご臨席いただきました。中村千春理事・副学長の開会の挨拶を受けて、Dr.Ampol Senanarong閣下が温かくも格調高い祝辞を述べられました。その後、協定大学からもご祝辞をいただき華やかな雰囲気の内にオープニングセレモニーの幕が開かれました。
次に福田秀樹神戸大学長記念講演会: 演題『神戸大学-グローバルエクセレンスを目指して』が行われました。福田学長は、海外で活躍する神戸大学卒業生の活躍を称え、本学の国際性についても強調すると共にリーディング大学としての教育研究についても自身の研究を踏まえて講演を行いました。続いて、戦後、本学にとって最初の留学生となるPraphan Hetrakul氏(「タイ神戸大学同窓会」名誉会長/タイヤクルト (株) 会長、1958年経営学部卒) がすべての卒業留学生を代表して、『神戸大学と私』という演題で記念講演をされました。Praphan氏は、50余年前に本学で学んだ経営学の原点をタイヤクルト (株) の経営にもすべて活かし成功を収めたことを披露され、帰国後も本学との絆を大切に思う気持ちが溢れる感動的な講演でした。
その後、「福田学長を囲んでの懇談会: グローバル時代における大学と海外ネットワークとの連携」では、各国・地域から5名のパネリスト: Somkiti Synsukpermpoon氏(「タイ神戸大学同窓会」会長)・Thin Aye Aye Ko氏 (「THINMYNMAR LANGUAGE CENTER」校長)・呉 美英氏 (「韓国総同門会」幹事)・森田 貴氏(「中国神戸大学同窓会」上海地区会長)・Loong Kok Hong氏(「マレーシア神戸大学同窓会」会長) が学長と共に登壇しました。各パネリストからは母国での活動報告、大学に望むことなどについて発表があり、中西泰洋留学生センター長がコーディネータとなり、活発な意見交換が行われました。
第II部は、「タイ神戸大学同窓会」主催による「神戸大学同窓会inバンコク」で、安藤幹雄学長補佐の祝辞の後、「学友会」前副会長の島一雄氏による乾杯の音頭 (神戸大学ブランド『茜彩』) で世界同窓会が始まりました。海外で旧交を温め、終始和やかな雰囲気の下、余韻を残しつつ会がお開きとなりました。
今後も「神戸大学グローバルリンク事業」を通して、国際的な知的情報リソースである海外同窓会ネットワークとより積極的に連携協力して、神大の特徴を活かした質の高い国際交流推進事業活動を推し進めていくつもりです。
今回のKUGL-Forumについては、タイの全国紙「Dairy News」(1/27/2011) の第一面に、日タイ両国の旗をバックに、タイ語で「学問以上の大学“神戸大学”タイ日本関係を結ぶ」という賞賛の言葉が本学のロゴマークと共に掲載され、第三面にも同フォーラムを高く評価する記事 (PDF形式) が続きました。
Day2 国際学術公開シンポジウム-Towards Sustainable Development of Our Societies-
二日目は、タイヤクルト (株) 本社の大会議室で、英語による「国際学術公開シンポジウム -Towards Sustainable Development of Our Societies-」が行われました。福田秀樹学長による挨拶の後、基調講演者には、Mikko Cantell氏 (UNESCO Bangkok, ESDプログラム専門官) を迎えて「アジア・太平洋地域におけるESDの現状と課題」について講演をしていただきました。続いて神戸大学におけるESD領域の第1人者である松岡広路教授 (人間発達環境学研究科) による講演「ESDスタディツアー推進プロジェクトの概要と課題-プラットフォーム学習論の実質化をめざして-」。それを受けて、本学とも長年共同研究を行っている著名なPoonpipope Kasemsap教授 (カセサート大学) による講演「International Training Program:Education for Sustainable Development」。
ブレイクを挟んで、後半の研究発表は、バイオマス、燃料等に移り、著名なWarawut Chulalaksananukul教授 (チュラロンコン大学) による講演「Biofuels by Biocatalysts」。最後は、本学の総合バイオリファイナリーセンター長でもある、著名な近藤昭彦教授 (工学研究科) による「バイオマスからの燃料・化学品生産」の講演。そして、シンポジウム全体のまとめ役として、中村千春理事・副学長からは、「“Science and Technology for Sustainable Society”」と題してのショートスピーチあり、その中では、持続可能な社会の実現には科学と技術が必要であることを強調されました。
今回の学術公開シンポジウムでは、日タイでの研究成果が同時に発信でき、新たな共同研究に発展する可能性にもつながる意義ある一日となりました。
Day3 神戸大学フェア
三日目は、本学と全学協定を締結しているタマサート大学の全面的な協力を得てタープラチャンキャンパスと遠く離れたランシットキャンパスをビデオカンファレンス方式でつないで「神戸大学フェア」を開催しました。まず、福田秀樹学長の挨拶に続いて、中村千春理事・副学長による「神戸大学の紹介」。続いてのオープンレクチャは、「Reform and performance of railway industry」と題して柳川隆教授 (経済学研究科) が、「Construction of consolidated bioprocesses for production of biofuels and chemicals」と題して近藤昭彦教授 (工学研究科) がそれぞれ目前のタイ学生とモニターの向こうのタイ学生たちにも語りかけるという形式で行い、その講義内容もタイという地域に相応しいものでした。その他、学生たちが多く集まる場所では、在タイ日本大使館、日本学生支援機構 (JASSOバンコク事務所) の協力を得て、各関係部局のブースを設け、情報提供や個別懇談を行いました。神戸大学が単独で協定大学に赴き神戸大学フェア (留学説明会) をするのも初めての試みでした。タイの優秀な学生を迎え、交流活動がますます盛んになることを期待しています。