神戸大学

2013年度グッドデザイン賞に神戸大学医学部附属病院

2013年10月04日

神戸大学医学部附属病院医療情報部の高岡裕准教授の研究チーム (菅野亜紀、三浦研爾) と大阪大学歯学部附属病院病院長/障害者歯科治療部の森崎市治郎教授を代表とする大阪大学歯学部の研究チーム (財間達也、村上旬平) は、点字と触図による歯科医療情報提供システムDENTACT (デンタクト) 実用化の研究開発に成功し、このほど2013年度グッドデザイン賞を受賞しました。

受賞対象になったのは視覚障害者向けの歯科疾患管理文書を作成するパソコンソフト「DENTACT (デンタクト)」を2016年の障害者差別解消法公布に先駆けて実用化したことです。一般的なパソコン環境を使い、安価にシステム化しました。点字と触図から構成された歯科疾患管理文書を簡単に作成出来るのが特徴です。大学同士の横の連携 (学学連携) による研究成果となっています。

「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」 (通称: 障害者差別解消法) が今年6月に成立しました。同法の公布 (2016年4月予定) 時には、推計約31万人の我が国の視覚障害者に対し「合理的な配慮」を行う必要が生じます。そこで神大、阪大の研究チームは、晴眼者に提供する情報と同等の質と量を視覚障害者に提供する「情報保障」を法律の公布に先駆けて実現することで、社会的障壁となっている情報格差をいち早く改善すべく、研究開発に取り組んできました。神戸大学の高岡准教授は自動点字翻訳プログラムeBrailleを研究開発して、2010年度のグッドデザイン賞を受賞しています。

今回、自動点字翻訳のノウハウを有する神戸大学医学部附属病院医療情報部のシーズが、大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部の歯科疾患管理文書を点字と触図によって提供するニーズと出会い、歯科医療情報提供システムDENTACT (デンタクト) の実用化に結実しました。

今後は大阪大学歯学部附属病院が中心となり、全国の国公立大学病院、障害者歯科医療機関等へ、今回開発したシステムの普及をはかっていきます。今後も叡智を結集して、医療機関における視覚障害のある患者さんへの合理的配慮が確実に行えるよう、システムのブラッシュアップにも取り組む予定です。

グッドデザイン賞は、1957年に通商産業省 (現経済産業省) によって創立された、「グッドデザイン商品選定制度 (通称Gマーク制度)」を母体とする総合的なデザイン評価・推奨制度です。受賞式は10月30日に東京ミッドタウンで行われます。

今回の研究成果は、総務省戦略的情報通信研究開発推進制度SCOPE (課題番号: 101707012)、日本学術振興会科学研究費助成事業 (学術研究助成基金助成金基盤研究(C)) (課題番号: 23593135、24590609、25463299) によっても得られています。

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(医学部附属病院医療情報部、広報室)