神戸大学

「第2回 アジア主要大学:日本研究リーダーズフォーラム」を開催しました

2014年12月05日

神戸大学国際交流推進機構アジア総合学術センターは、11月17-18日に「第2回アジア主要大学:日本研究リーダーズフォーラム―日本における西欧的文化・価値観の内在化―」を開催しました。

本フォーラムでは、様々な角度から日本研究に注力しているアジアの主要大学から、日本研究をリードする著名な研究者7名に若手研究者7名を加えた計14名が一堂に会し、アジアにおける日本研究が有する意義や役割について講演及び議論を行いました。

1日目は、淡路夢舞台国際会議場にて、齋藤彰国際交流推進機構アジア総合学術センター長の開会挨拶に続き、神戸大学の教員及び招へい研究者の間で、各研究分野の紹介及びその意義や役割について、広域的で長期的な展望を持って自由闊達な議論が行われました。

また、参加した若手研究者からは、中国における学生の日本語学習意欲の調査、台湾における西洋文化の内在化、さらに、ユーロと日本の株式市場の関連性について等、異なる視点から多岐に渡るテーマで研究発表が行われました。

2日目は、神戸大学百年記念館にて、50名近い聴衆が参加して講演会が行われました。井上典之国際担当理事・副学長の開会挨拶に続き、セッション1では「アジアにおける『日本』研究の新たな波」をテーマに、香港中文大学比較日本学研究センター (中国・香港) の呉偉明センター長、チュラロンコン大学文学部東洋言語学科日本語講座 (タイ) のAsadayuth Chusri学部課程運営委員長、モンゴル国立大学科学総合学部アジア研究学科 (モンゴル) のTangaa Munkhtsetseg教授、厦門大学外文学院 (中国) の陳端端副院長が講演されました。

呉偉明センター長は、手塚治虫および黒澤明から見た戦後日本流行文化の和魂洋才論について講演され、Asadayuth Chusri学部課程運営委員長は、タイで見られる日本化された西欧文化について紹介するとともに、その要因を分析されました。また、Tangaa Munkhtsetseg教授は自国における日本研究の歴史を紹介するとともに、現状と課題について分析されました。さらに、陳端端副院長は、日本語研究型人材育成のための仕組み作りや教員の取り組み事例について紹介されました。

セッション2では「『日本』は西欧とアジアとの架け橋となりうるか?」をテーマに、北京外国語大学北京日本学研究センター (中国) の徐一平センター長、汕頭大学法学院 (中国) のMichael Palmer院長、Jeff Leong, Poon & Wong弁護士事務所 (マレーシア) のJeff Leongシニア・パートナーが講演されました。

徐一平センター長は、外来語で見た日本における西欧的文化の内在化について紹介するとともに、多様化された地域文化が守られていくことの重要性を論じられました。Michael Palmer院長は、中国と日本における家庭内暴力の法的対応の類似点や相違点、そして解決のための調停の是非について論じました。さらに、Jeff Leongシニア・パートナーは、日本が著しい経済成長を実現することに繋がった日本人的思想を探求し、その思想が長期にわたるデフレーションからの脱却につながる可能性について述べられました。

講演後、ディスカッションが行われ、各講演内容について議論し理解を深めるとともに、聴衆から寄せられた多数の質問に各講演者が回答しました。

2日間にわたるフォーラムを通じ、アジアにおける日本研究の有する意義および役割について、研究者間で意識を共有するとともに、新たなネットワークの構築へとつなげる機会となりました。

(国際部国際企画課)