神戸大学

海洋底探査センター・海事科学研究科附属練習船深江丸 探査航海に出航しました

2016年10月14日

海洋底探査センターと海事科学研究科附属練習船深江丸による探査航海が、10月13日から10月27日まで、鹿児島県の薩摩硫黄島付近にある「鬼界カルデラ」で実施されています。

航海に当たり、10月13日 (木) 10時40分から、深江キャンパス繋船池 (係留岸壁) で、武田廣学長、小田啓二副学長、巽好幸センター長、西尾茂副研究科長、矢野吉治船長ら関係者が出席し、出航式が行われました。

出航式は、若林伸和副センター長の進行のもと、最初に、武田学長の挨拶がありました。

武田学長から、本学の機能強化の一環として昨年10月に設置した海洋底探査センターは、このたびの本格的な鬼界カルデラにおける探査航海により、探査データの収集と解析等を行うことにより、同センターが世界トップクラスの研究教育組織として成果をあげていくことを期待しているとの話があり、深江丸船長ほか乗組員に対しては、これまで、外航商船の船舶職員養成のための練習船として、多くの航海士、機関士の養成を行ってきたが、このたびの探査航海は、探査船としての機能をもってデータ取得等を行う目的があり、長期の航海となることから安全運航を祈念するとの言葉がありました。

続いて、西尾副研究科長から、深江丸の調査船としての機能向上の紹介があり、探査航海での成果に期待が膨らむこと、探査航海を契機に海事科学研究科と海洋底探査センターの連携がより深まること、及び研究科として海洋人材育成の加速に取り組んで行きたいとの話がありました。また、乗船する学生たちへは、海洋立国の将来の一翼を担うようになってほしいとの期待が寄せられました。

最後に、矢野船長へ花束の贈呈があり、矢野船長から、学長はじめ多くの関係者に出席いただき出航式が開催されたことに感謝の意が表され、航海は天候に影響されることも多く厳しい状況も想定されるが、深江丸が一丸となって探査航海を成功させたいとの話がありました。

その後、岸壁からの見送りに対して、深江丸では登舷礼で応え、観測海域へ向け出航しました。

探査航海は10月13日 (水) 11時に深江キャンパスを出航し、約1日半の航海により、鹿児島県の鬼界カルデラに到着後、海底地形の精密な探査や海底に地震計等を沈める作業,深江丸から圧縮空気を放って人工地震を起こし地中 (地殻) を伝わってきた地震波を観測・解析する等により,鬼界カルデラの地形や変化,海底下のマグマだまりの位置や形を推定することを目指しています。設置した地震計は、海底に残したまま計測を続け,次回 (来年3月実施) の探査航海で回収する予定です。

また、教育面では、本学および他大学の学生も多数乗船し、探査航海の現場における特殊な船舶運用など貴重な実習を通じて人材教育が実施されます。

探査航海の実施に当たり、海洋底探査センターでは、 JAMSTECの支援を受けるほか、クロスアポイントメント制度を活用し、JOGMEC ((独) 石油天然ガス・金属鉱物資源機構) および日本海洋事業株式会社の協力を得て、専門職を特命教員として採用し、金属鉱床のデータ分析等および物理探査・測深等で、より有効な成果が出るよう体制を整えています。

通常の深江丸航海に比べて本航海は、期間、距離ともに長く、途中、鹿児島港へ補給のため寄港しますが、前半は約1,200海里 (約2,200km)、後半は約600海里 (約1,100km) の航路が予定されています。深江丸には、「マルチナロービーム測深システム」および「地層探査システム」等の最先端の装置が装備され、乗組員は、相当困難が予想されるデータ取得等において、これまでの船舶実習、研究航海等で培った船舶運航・操船の技術をもって対応しています。

今回の探査航海には、民放テレビの取材クルーも便乗し、社会の関心も高いものと推察され、今後、海洋底探査センターと海事科学研究科の連携がより深まり、本学の機能強化に繋がるとともに、練習船・探査船の機能をもった新しい船の建造が待ち望まれています。

(海事科学研究科)