神戸大学

国立療養所「邑久光明園」と神戸大学国際人間科学部、人間発達環境学研究科が連携協定を締結しました

2016年11月15日

調印式

2016年11月2日、国立療養所「邑久光明園 (おくこうみょうえん:岡山県瀬戸内市)」において、同園及び同園入居者自治会と、神戸大学大学院人間発達環境学研究科及び神戸大学国際人間科学部設置準備委員会との間で、連携協定が締結されました。本学人間発達環境学研究科からは、岡田修一研究科長、川端清文事務長、松岡広路教授、清野未恵子特命助教が、新学部設置準備委員会からは岡田章宏委員長が参加し、同席した多くの本学学生ボランティア・同園関係者の祝福のなかで、無事に調印が取り交わされました。また、調印式後、本学学生を中心とする「ESDボランティアぼらばん」主催の祝賀交流会が開催されました。

四者での連携協定が締結されたことにより、本学がハンセン病問題を歴史的に継承・伝承する事業をより強力に後押しするだけではなく、新しいスタイルの大学教育を同園の協力のもとに企画・運営・評価する環境が整えられることになります。新学部「国際人間科学部」の新教育プログラムである「GSP (Global Studies Program)」の国内フィールド学修や神戸大学ESDコースのオプションプログラムが、同園の協力のもとに安定的に実施されることになります。本研究科・新学部との連携という限定的な枠組みですが、神戸大学全体の教育・研究に寄与することが期待されます。

「ESDボランティアぼらばん」
活動の様子

本学と同園の関わりは、10年前に始まりました。2007年、人間発達環境学研究科ヒューマン・コミュニティ創成研究センター の実践プロジェクトである「ESDボランティアぼらばん」が、ハンセン病問題学習およびESD (持続可能な開発のための教育) の新しい方法を開発することを目的に、同地でワークキャンプ等の活動を開始しました。以来、同園でのボランティア活動は、質・量ともに充実し、同園を多様な市民の出会いと学びの場に変えていくことをめざす「つどいの広場づくりプロジェクト」のような企画も生まれてきました。実は、2010年に、ぼらばんの活動と同園の将来計画 (元患者の永久人権保障、教育・啓発の拠点づくり、医療・福祉拠点づくり) への協力を中心とした連携協定が締結されています。しかし、このたびは、神戸大学の教育改革・新教育プログラムの開発への相互協力が大きな柱です。GSPプログラムやハンセン病問題学習と連動したESDプログラムの開発を相互に協力することがねらいとなっています。具体的には、昭和時代のハンセン病療養所の風景・生活を復元する「心の風景」ジオラマづくりプロジェクトや、ハンセン病元患者さんが管理されていた畑を後世に引き継ごうとする「みかん畑プロジェクト」などの、プロジェクト創出型の学習プログラムが予定されています。「ESDボランティアぼらばん」を、媒介またはコーディネート組織としながら、より多くの教員・学生・市民が、こうしたプロジェクトや学習プログラムに参加することを促進・支援していく予定です。

(人間発達環境学研究科)