神戸大学

[工学研究科] 陰山聡教授らの地球ダイナモシミュレーションに関する論文がNature誌に掲載されました

2010年02月11日

論文タイトル
Zonal flow formation in the Earth's core
著者
宮腰剛広 (海洋研究開発機構)、陰山 聡 (神戸大)*、佐藤哲也 (兵庫県立大)
* 責任著者
学会誌名等
Nature
vol.463, no.7282, pp.793-796 (2010)
概要

方位磁石 (コンパス) が北を指すのは、地球内部に10億アンペア以上にも達する莫大な電流がリング状に流れているためです。この電流は地球の中心部分、コアと呼ばれる領域の大部分を占める液体状の鉄が対流運動する (流れる) ことによって作られています。地球コアの対流運動によるこの発電効果は、地球ダイナモと呼ばれます。著者等は、スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を使った大規模な計算機シミュレーションにより、地球コア内部に起きうる新しい対流構造を見出しました。以前行った研究において著者等は、地球コア内部にカーテンのような薄いシート状の対流構造が現れる可能性を示しました (Nature誌, 2008年掲載)。本論文は、その研究をさらに発展させ、このシート状対流を取り囲むように流れる全く別の形状、帯状の流れが存在する可能性を示したものです。この帯状流は西向き (地球の自転と逆方向) で、自転軸に平行な方向にはきれいにそろって分布します。外核の内側部分にシート状流があり、外側部分には帯状流があるというこの二重対流構造は、これまで実験や観測でも予測されておらず、スーパーコンピュータによる大規模計算によって初めて見いだされた新しい対流構造です。

関連リンク