- 論文タイトル
- Phosphoenolpyruvate carboxylase intrinsically located in the chloroplast of rice plays a crucial role in ammonium assimilation
- 著者
- Chisato Masumoto1, Shin-Ichi Miyazawa1, Hiroshi Ohkawa1, Takuya Fukuda1, Yojiro Taniguchi1, Seiji Murayama1, Miyako Kusano2, Kazuki Saito2, Hiroshi Fukayama3 and Mitsue Miyao1
- 1) 農業生物資源研究所光環境応答研究ユニット
- 2) 理化学研究所 植物科学研究センター
- 3) 神戸大学大学院 農学研究科
- 学会誌名等
- Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA
- 概要
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農業生物資源研究所は、理化学研究所及び神戸大学と協力して、イネが窒素を有効に利用するための独自のしくみをもつことを見出しました。
植物は、光合成で大気中の二酸化炭素を固定して、糖やデンプンなどの炭水化物をつくります。また、炭水化物と土壌から吸収した窒素を利用して、アミノ酸、タンパク質、核酸などさまざまな物質をつくりだします。これらのしくみは、ごく一部の例外を除いて、すべての植物に共通と考えられていました。ところが、今回発見した葉で働くイネ特有の酵素は、土壌中の窒素化合物であるアンモニアを利用する際に必要な炭素化合物をつくる働きをもち、そのしくみは、水田でアンモニアを有効利用するためのイネ独自のものであることがわかりました。
植物の生産性は、光合成で炭素を取り込む能力だけでなく、窒素を利用する能力にも大きく依存しています。今回発見した酵素は、光合成と窒素の利用という、生産性に密接に関わるふたつの過程をつなぐ重要な役割をもつことが明らかにされました。この成果は、イネの生産性の向上に新たな道を拓くものと期待されます。
この成果は、2010年3月16日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)で公開され、「FACULTY OF 1000 BIOLOGY」に選ばれました。
(農業生物資源研究所作成プレスリリースから)
- 関連サイト
2010年03月30日