神戸大学

[医学研究科] 井垣達吏特命准教授らが上皮組織ががんのもとになる異常細胞を排除する仕組みを解明

2011年03月15日

神戸大学医学研究科の井垣達吏特命准教授、大澤志津江グローバルCOE研究員ら6人の研究グループは、がんのもとになる異常細胞を上皮組織が積極的に排除するメカニズムを明らかにしました。論文がアメリカの科学誌「Developmental Cell」に受理され、3月15日に発表されました。

ヒトのがんのほとんどは上皮組織に生じます。上皮組織に生まれたがんのもとになる異常細胞 (がん原性細胞) は、通常周囲の正常組織からの“選択圧”を受けることによって組織から排除されると考えられますが、この選択圧を担う分子メカニズムはこれまでほとんど分かっていませんでした。研究グループは、ショウジョウバエの上皮組織をモデル系として用い、正常な上皮細胞がその隣に出現したがん原性細胞を積極的に排除するメカニズムを明らかにしました。

本研究成果は、細胞が内在性がん抑制システムを打ち破ってがん化を遂げるメカニズムの解明、さらにはがん細胞ではなくその周りの正常細胞に着目したエントーシス制御という新しいがん治療戦略の開発につながる可能性が期待されます。

(広報室)