神戸大学

井上邦夫教授らが、マイクロRNA関連の研究成果を発表しました

2012年01月17日

論文タイトル
Translational inhibition by deadenylation-independent mechanisms is central to microRNA-mediated silencing in zebrafish
著者
Yuichiro Mishima, Akira Fukao, Tomoyoshi Kishimoto, Hiroshi Sakamoto, Toshinobu Fujiwara and Kunio Inoue
学会誌名等
Proceedings of the National Academy of Sciences
Published online before print January 9, 2012
DOI: 10.1073/pnas.1113350109
概要

理学研究科の井上邦夫教授、三嶋雄一郎研究員らの研究グループは、タンパク質をコードしない小さなRNA「マイクロRNA」が遺伝子の発現を抑制するメカニズムを明らかにしました。

マイクロRNAは、脊椎動物のゲノムに存在するタンパク質遺伝子のうち30%から50%を制御している小さなRNA分子です。これまでの研究から、マイクロRNAは自身と相補的な配列を有するメッセンジャーRNAに結合し、タンパク質の発現を抑えることが知られていましたが、その抑制メカニズムの実体は明らかになっていませんでした。今回、研究グループはゼブラフィッシュの受精卵を用いて研究を行い、マイクロRNAがメッセンジャーRNAの翻訳を抑制する際には「2つの異なるメカニズム」が働いていることを明らかにしました。

本研究の成果は、動物の発生過程において遺伝子の発現が巧妙にコントロールされる仕組みの理解に繋がると考えられます。またマイクロRNAはがんを始め数々のヒト疾病の原因として近年注目されており、医療・創薬方面への波及効果も期待されます。