神戸大学

[理学研究科] 分子レベルで音が物質に与える影響を研究 津田准教授に若手科学者賞

2013年04月16日

津田明彦准教授

高度な研究能力を有する若手研究者を対象にした本年度の文部科学大臣表彰・若手科学者賞に、神戸大学大学院理学研究科化学専攻の津田明彦准教授が内定しました。分子レベルでの音と物質の関わりを探るという世界的にもユニークな研究。本日8日14時に文部科学省記者クラブで発表されるのに合わせてプレスリリースします。4月16日に文部科学省で表彰式が行われます。

「分子が音を聴いてもいいじゃないか」。津田准教授が世界中で誰もやっていない研究に着手したのは2008年。電気や光による制御でなく、人の声などの可聴音で分子の動きをコントロールできることの証明に乗り出したのです。ポルフィリンなどのπ共役分子からなる超分子ナノファイバーの溶液に、人の声と同程度の周波数の可聴音を照射すると、ナノファイバーが音の進行方向に沿って整列するという極めてユニークな現象を発見しました。これは分光的な方法、直線二色性スペクトルを使って確認したものです。2010年に化学雑誌「Nature Chemistry」に論文を発表しました。その後も自身が専門としてきたπ共役分子や超分子集合体の科学に、全く異色な音響学を取り入れて、これまで知られていなかった様々な新現象を見いだして、世界的に注目される研究成果を得ています。音楽のメロディーに合わせて分子が踊るような現象まで確認しています。

津田准教授は「音楽を流しながら、食品を熟成させると味が良くなる、木材を熟成させると強度が変化する、植物を育てると収穫量が増えるなど、音と物質が関わる様々な現象の報告がありますが、私の研究はそれらの現象を科学的に突き止める糸口にもなると思います」と話しています。

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