公開講座 暮らしを支えるエンジニアリング -ロハスな生活?-
講座の開設主旨・目的等 |
工学部公開講座で取り上げてきたテーマ履歴を見ると、時代の社会背景が色濃く反映されていることがわかります。 公開講座が始まった頃の1980年代までは生活の利便性・効率性・安全性を向上させることが工学の使命であることを誰もが疑わず、 人類の英知が紡ぎ出す技術革新は必ずや私たちの幸せをもたらすと確信してきました。 当時すでに経年的な気温上昇という気象事実があったにも関わらず、地球が氷河期に向かうという見方すらあり、 先進国を中心とする効率優先の社会経済活動の減速メカニズムが働く気配はありませんでした。 しかし、1980年代の後半以降、科学者でなくともみんなが地球温暖化や資源の枯渇を現実問題として受け止めるようになり、 地球環境、持続的発展などのキーワードとともに自然環境の保全が人類を含む地球上の生物にとって重要であることを認識するに至りました。 全球規模の気候変動を最小化するために、京都議定書などの国際規制や省資源 ・省エネルギー技術を開発・導入するなど本腰を入れた人類の取り組みが求められ、その中で工学技術が大きな役割を果たすことは言うまでもありません。 しかし、工学技術がもたらす生活の利便性・効率性を享受し、社会資本整備によって向上した安全性に慣れ親しんだ私たち自身を省みると、 健康で持続的な生活を実現するためには、技術の恩恵に頼るだけではなく、私たちの暮らし方にも工夫の余地があることに気がつきます。 経済不況の事例を見るまでもなく、 地球上のどこかで発生した自然や社会変動が速やかに全球規模で波及する今日、 コンパクトで負荷の小さな生活スタイルへと切り替え、自立性の高い暮らしを実現することが必要不可欠の時代になってきました。 国際的取り組みや大上段に構えた技術革新に頼らずとも、片意地を張らない昔年のささやかな暮らしが高い持続性を有することは、 高度経済成長とその弊害を経験した私たちには十分理解できます。 このように暮らし方のパラダイムシフトが求められる今日をとらえ、 本年度の公開講座では「暮らしを支えるエンジニアリング」と題して、 LOHAS” Lifestyles Of Health And Sustainability”な生活を実現するための工学技術を紹介することとなりました。 様々な切り口から、工学技術が如何様に「ロハスな生活」を支援し得るかが本学の教員陣により紹介されます。 受講頂いた後に今一度、皆様ご自身の生活スタイルを再点検頂き、 地球の持続性を支えるロハスな生活を営んで頂くことを祈念して、本年度の工学部公開講座の開講ご挨拶に代えさせて頂きます。 |
講義日程・題目及び講師
回 | 講義日 | 時間 | 講義題目 | 講師 |
6月13日 (土) | 13:30 ~ 13:50 | 開講式、概要説明 | 森本 政之 研究科長 | |
道奥 康治 委員長 | ||||
1 | 13:50 ~ 15:20 | 環境共生型まちづくりのための気候解析 | 竹林 英樹 准教授 | |
2 | 15:40 ~ 17:10 | 安全・快適な暮らしのための熱エネルギー制御技術 | 川南 剛 准教授 | |
3 | 6月20日 (土) | 13:30 ~ 15:00 | 暮らしとナノエレクトロニクス | 土屋 英昭 准教授 |
4 | 15:20 ~ 16:50 | 持続可能な社会を目指した貴金属リサイクル技術の開発 | 丸山 達生 准教授 | |
5 | 6月27日 (土) | 13:30 ~ 15:00 | くらしを豊かにする住環境計画学 | 近藤 民代 准教授 |
6 | 15:20 ~ 16:50 | 身の回りの高分子材料 | 南 秀人 准教授 | |
7 | 7月4日 (土) | 13:30 ~ 15:00 | 光の色によるインフラの新しいモニタリング手法 | 芥川 真一 教授 |
8 | 15:20 ~ 16:50 | 人工物の科学: 数学的観点から | 菊池 誠 准教授 | |
9 | 7月11日 (土) | 13:30 ~ 15:00 | 河川災害に備えたモニタリング技術 | 藤田 一郎 教授 |
10 | 15:20 ~ 16:50 | 健康増進と自立支援に貢献する工学技術 | 長野 明紀 講師 | |
17:00 ~ 17:20 | 閉講式 | 森本 政之 研究科長 | ||
道奥 康治 委員長 |
連絡先 |
神戸大学大学院工学研究科総務係 Tel: 078-803-6333 Fax: 078-803-6396 |