神戸大学

震災の被災大学である神戸大学と東北大学が、災害科学分野における包括協定を締結しました

2011年11月01日

10月23日の調印式
10月23日の調印式
(左が井上東北大総長、右が福田神戸大学長)

神戸大学と東北大学は、10月23日 (日) に仙台市内で災害科学分野における包括協定調印式を行いました。この協定の締結により、両大学が連携して、災害科学分野における学術研究、人材養成及び社会貢献を推進し、東日本大震災の被災地域の再生や、人類に共通する災害復興問題に貢献することが期待できます。

協定締結までの経緯

本年3月11日に発生した東日本大震災の被害は甚大な規模であり、国を挙げて復旧・復興へ懸命の努力が行われる中、5月27日 (金) に東北大学井上明久総長と兵頭英治副学長が、神戸大学から東北大学への震災支援 (1万5千食分の緊急保存食と飲料水の寄付と施設職員の派遣) 等に対するお礼を兼ねて、神戸大学を訪れました。

東北大学井上総長と神戸大学福田秀樹学長との会談では、震災における双方の大学の対応について報告がなされた後、被災大学である神戸大学と東北大学との連携の在り方について協議が行われ、東日本大震災からの復興に向けて両大学の協力関係を強化することで合意しました。

また、阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸大学は、その経験を生かし、このたびの東日本大震災からの復興に向け、6月9日 (木) に神戸大学としての提言 (PDF形式) をまとめるとともに、8月3日 (水) に、神戸大学福田学長、東北大学井上総長のほか、五百旗頭真東日本大震災復興構想会議議長、室崎益輝関西学院大学教授のご参加を得て、大震災に見舞われた被災者の救済と被災地の復興を願い、公開シンポジウム「東日本大震災からの復興に向けて―神戸にできること―」を開催しました。

以上のような取組みを契機とし、神戸大学と東北大学は、災害科学分野における包括協定を締結することとなりました。調印式後の記者会見の席上で、神戸大学福田学長は、「被災した大学同士、手を取り合って研究を進めたい」と述べ、東北大学井上総長としっかり握手をしました。

震災の被災大学である神戸大学と東北大学が、災害科学分野における包括協定を締結しました

今後、両大学は、連携を深め、東日本大震災の被災地域の再生や、人類に共通する災害復興問題への貢献に繋げていきたいと考えています。

神戸大学と東北大学が連携した取組み

震災の被災大学である神戸大学と東北大学が、災害科学分野における包括協定を締結しました
学生支援GPシンポジウム(10月22日)

9月19日 (月) に行われた神戸大学ブリュッセルオフィス第2回シンポジウム「巨大災害に強い安全社会の構築に向けて」では、真野明東北大学附属災害制御研究センター教授による「東北地方太平洋沖地震の概要と津波」と題し、講演をしていただきました。

10月22日 (土) には、神戸大学百年記念館六甲ホールにおいて、神戸大学第四回学生支援GPシンポジウム「大学における学生ボランティア支援 - 神戸と東北からの展望」を開催し、パネリストとして東北大学東谷篤志総長補佐、ボランティア活動報告として学生2名をお招きし、東日本大震災による東北大学の被災状況やその後の東北大学の復興に向けた取組み、学生ボランティアの活動と大学の支援状況などについて説明いただきました。

震災の被災大学である神戸大学と東北大学が、災害科学分野における包括協定を締結しました
東北大学シンポジウム (10月24日)で
連携協定について報告する福田学長

今回の包括協定調印式の翌日10月24日 (月) には、東北大学が国連アカデミック・インパクトに参加することを記念したシンポジウム「国連デー@東北大学:東日本大震災からの復興、そして新生~東北から世界へ」が、東北大学川内萩ホールで開催され、本学からは、福田学長が「神戸大学と東北大学との災害科学分野における協力~神戸から東北へ」と題し、今回の包括協定締結の経緯や今後の取組みについての報告を行いました。

また、続く基調報告では、田中泰雄神戸大学都市安全研究センター長が、「阪神・淡路大震災と東日本大震災を繋ぐ次世代の安全社会づくり」と題し、神戸大学と東北大学が中心となって、それぞれの地域で大学間のネットワークを築き、さらにそのネットワークを活かした広域連合型の地域防災・再生ネットワーク構築の必要性を提言しました。

最後には、本学発達科学部の学生が岩手県遠野市で行ったボランティア活動について紹介しました。

震災の被災大学である神戸大学と東北大学が、災害科学分野における包括協定を締結しました
東北大学シンポジウム (10月24日) で
基調報告を行う田中都市安全研究センター長

神戸大学と東北大学は、これまでに以上のような取組みを始めています。今後、まずは神戸大学として実績のある「心のケアを含めた学生ボランティア支援」や「被災歴史資料保存の取組」などの連携を行いたいと考えています。

その上で、神戸大学としては「介護・看護あるいは災害用ロボットの技術開発の分野」や、「バイオリファイナリー分野」、「土壌汚染物質や汚染水の浄化分野」など、各分野における連携が可能かどうか検討を進めていきたいと考えています。

(企画部企画課)