学修支援と高等教育の質保証(Ⅰ)

本書は山内が研究代表者を務める科学研究費補助金基盤研究(C)(2013年度~2015年度)「学生の学力と学修支援に関する比較研究-日英瑞3カ国を中心に-」(課題番号25381129)に基づく第一弾の研究成果である。

近年、高等教育界においては「学修支援」という言葉が急速に市民権を獲得した。これは、大学の主たる社会的使命が「研究」から「教育」へ、さらには「学修支援」へと移行していったことを反映している。もちろん、大学個別に見れば、いまでも「研究」を主たる社会的使命とする大学はある。しかし、そういった大学においてさえも、10年前、あるいは20年前と比べれば「学修支援の充実」という課題は比較にならないほど重みを増していることと考える。

本書は第一弾として、国内を中心とする学修支援の状況を検討した。第一章において山内は、私的な経験に基づくアクティブ・ラーニング論を展開している。アクティブ・ラーニングは近年の学修支援重視の風潮の中でのキーワードの一つである。第二章において原は、高校時代からのトランジション等バックグラウンドを踏まえた学修支援論・学力論を試みている。第三章において高橋は、本務校である短期大学の保育者養成に視点からの学修支援を検討している。第四章において塩川は、高等教育機関の留学生への学修支援を検討している。第五章において、杉野は、学修支援と対になって論じられることの多いポートフォリオの機能について論じている。第6章において武、第7章において邵がそれぞれ、スウェーデン、中国の高等教育の評価と質保証について検討している。教育評価と質保証は学修支援論と深いかかわりを持つことについては説明を要しないであろう。

第二弾において、より深い考察をして『学生の学力と高等教育の質保証(Ⅰ)、(Ⅱ)』以来続いてきた一連の研究を終えたいと考えているが、今回の研究に対してご意見、ご批判があればぜひともお寄せいただきたく考えている。

 

目次

第1章 私的経験に基づくアクティブラーニング論
第2章 21世紀型の学力を目指した学修支援 ―高等学校の学力階層と生徒指導上の課題に着目して―
第3章 学修支援の視点に立った保育者養成校の授業構築 ―協同学習と絵本を活用した論理的思考力の育成に注目して―
第4章 留学生の学修支援
第5章 大学生の留学送り出し支援におけるプロセス評価 ―ラーニング・ポートフォリオ活用の可能性―
第6章 スウェーデンにおける教員養成課程の質保証に関する考察
第7章 中国の大学評価制度の変遷とその課題

 

(大学教育推進機構/大学院国際協力研究科・教授 山内 乾史)