『離島の地域情報化政策』

『離島の地域情報化政策』

本書は、平成20年度から3年間にわたる科学研究費補助金 (基盤研究C) を使って行われた、 「ポスト市町村合併時代の地域情報化政策:離島を中心にして」の実質的な報告書にあたる。私と、地域情報化政策研究とのつきあいは長く、 院生時代に田崎篤郎先生 (現在東京大学名誉教授) の薫陶を受けて以来だから、もう20年以上になる。その間、多くの自治体に取材し、本も3冊まとめてきた。 だが、離島というフロンティアに気付いたのは、この科研費に応募する少し前だったように思う。

誰しもが気づくように、離島は地理的なハンディを負っている。陸上交通から隔絶しており、空路か航路しか交通手段はなく、 この両者とも気候条件に左右される。産業面でも特に第二次産業、製造業で弱い。こうした離島が、情報化によって変わることができるのかというのは、非常に関心を惹く問題だろう。

残念ながら、単純な答えは本書にはない。各島の置かれたそれぞれの歴史や条件の中に、それぞれの答えがある。

正直に告白すれば、離島に行くのはそれだけで楽しい。船が欠航するなどのトラブルに見舞われたことも何度もあるが、それでもワクワクする。 抑制した記述の中に、そうしたワクワクする気持ちまで読み取っていただければ、著者としてこれに勝る喜びはない。

(人間発達環境学研究科准教授・田畑暁生)