『ネットいじめはなぜ「痛い」のか』

『ネットいじめはなぜ「痛い」のか』

本書は、これまで編者二人が取り組んできた学力論、格差社会論とは少し異なり、ネットいじめについて扱ったものです。現代に生きるわれわれの生活と意識にネットは確実に深く浸透しつつありますが、世代による温度差が顕著です。われわれ編者のような「デジタル・イミグラント」とは異なり、子どもたちの生活世界でのネットは、使用のされ方においても頻度においても、はるかに深く浸透しています。大学生よりも中高生、中高生よりも小学生に深く浸透しているようです。携帯電話のみならず、WiiやDSi、PSPなどで子どもたちはネットの世界に深く関わり、そして子どもたちを標的にしたあくどい商売や人間関係をめぐる諸問題もそこに発生します。

われわれ編者は、学力問題にせよ、格差社会論にせよ、教育社会学の研究者として取り組んできましたが、いじめ問題には父親としてもただならぬ関心を寄せています。今の大人たちは教師も含めて、子どもたちの生活世界で何が起きているのかについて、あまりにも無知なのではないでしょうか。テクノロジーの進展があまりにも早すぎ、子どもたちはそれについて行くのに、大人たちはついて行けず四苦八苦し、ようやく把握したときにはもう次のテクノロジーの波が襲いかかっているという状況なのではないでしょうか。

本書はいじめ問題を研究テーマとして取り組んでこられた方々、また教育現場で取り組んでおられる方々双方をまじえて、わかりやすく初歩の初歩から解き明かそうとしたものです。若い方ほどテクノロジーへの適応が速やかですので、われわれの過去の編著書よりも、ぐっと執筆陣が若くなっております。本書が理論面で、また現場での対処面で、読者各位のご参考になれば幸いです。ご一読の上、ご批判・ご意見を賜れば幸いです。

(大学教育推進機構/大学院国際協力研究科教授・山内乾史)