『現代 人的資源管理 ―グローバル市場主義と日本型システム―』

2014年04月23日

1980年代に一世を風靡した日本型システムは、長引く不況による日本企業の収益低迷に伴い、ポジティブな文脈において語られることは昨今では少なくなった。代わって韓国や台湾など新興国から、日本企業が逆に学ばなければならない状況であると喧伝されている。

本書は、こうした現状認識を基礎に置き、日本的経営の全盛時代から比較して日本企業の人的資源管理(HRM)の現状がどうなっているか、それを支える制度や理論、実践が、現在どの程度「進化」しつつあるかについて、HRMの各側面に焦点を当てながら、その全貌を明らかにしようとするものである。とりわけ、グローバリゼーションの進展や市場主義の考え方が、既存の日本型人的資源管理システムをどのように変容させているかが、本書全体を貫く分析の基軸となっている。

本書は、現在、内外の大学で教育研究に従事している第一線のHRM研究者22名によって執筆されており、全執筆者共通の指導教授である奥林康司先生(大阪国際大学教授・副学長、神戸大学名誉教授)の古稀を祝して上梓されたものである。HRMの基礎を概説した『入門 人的資源管理(第2版)』の応用編として、HRM各領域の最新理論と実践のフロンティアをお知りになりたい各位に、是非ご一読を頂ければ幸いである。

目次

序章
人的資源管理のフロンティア(上林憲雄)
第Ⅰ部 組織の諸相
第1章  組織構造と人的資源管理(森田雅也)
第2章  日本企業の組織間関係(團泰雄)
第3章  組織的公正(加納郁也)
第4章  クリエイティビティ・マネジメント(開本浩矢)
第5章  組織変革のマネジメント(松田陽一)
第Ⅱ部 人的資源管理のシステム 
第6章  雇用の境界(平野光俊)
第7章  人的資源開発(原口恭彦)
第8章  キャリア研究の変遷(櫻田涼子)
第9章  フラット組織における人事評価制度(福井直人)
第10章  人事評価制度の導入効果の測定(井川浩輔・厨子直之)
第Ⅲ部 新しい勤労スタイル 
第11章  知識労働者(三輪卓己)
第12章  サービス人材(野村佳子)
第13章  観光人材(竹林明)
第14章  高年齢労働者(高階利徳)
第15章  グローバル人材(中村志保)
第Ⅳ部 海外日系企業の人的資源管理
第16章 中国日系企業の人的資源管理(1)(于 楠)
【コラム】 人材確保に苦労する中国日系企業(丁揚陽)
第17章 中国日系企業の人的資源管理(2)(張彩虹)
第18章 台湾日系企業の人的資源管理(曾芳代)
第19章 ブラジルにおける日本人駐在員の異文化間調整(クボ・エディソン・ケイゾウ・デ・ミランダ)

(経営学研究科・教授 上林憲雄)