地域と理論から考えるアジア共同体

ヨーロッパで地域統合が始まった1950年代初頭、今日のEUへとつながる発展をどれほどの人が予想し得ただろうか。フランスとドイツという戦争を繰り返してきた隣国同士が、対立どころかむしろ平和共生の手本を示すまでになったのである。

翻ってアジアを考えると、冷え込む日中関係、日韓関係の現状をみると、とてもヨーロッパのような地域統合が可能とは思われない。ただ、仏独と同様、互いに隣国同士であることには変わりはなく、国の壁をこえて平和共生の道を探る努力は続けなくてはならない。

本書は、最初から「できる」「できない」と決めつけるのではなく、横たわっている問題点をアジア地域内部の視点から、さらには広くグローバル社会の視点から検証し、加えて歴史、思想、安全保障、文化交流、国際政治経済といった理論的な文脈から学際的・多面的に検証を行い、アジア地域の将来を考える糸口を提示している。

 

目次

序章 地域統合の現在 坂井一成(神戸大学)
第1部 アジア共同体とアジア諸国
第1章 日本とアジア共同体 大庭三枝(東京理科大学)
第2章 中国とアジア共同体 山﨑直也(帝京大学)
第3章 朝鮮半島からみるアジア共同体 岡田浩樹(神戸大学)
第4章 ASEANとアジア共同体 貞好康志(神戸大学)
第2部 国際社会のなかのアジア共同体
第5章 オーストラリアにとってのアジア共同体と太平洋 窪田幸子(神戸大学)
第6章 アジア共同体とアメリカ 安岡正晴(神戸大学)
第7章 ロシアとアジア共同体 河原地英武(京都産業大学)
第8章 EUとアジア ユク・ロペスビダル(カタロニア放送大学)
第3部 アジア共同体への視角
第9章 歴史・思想からみるアジア共同体 ノエミ・ランナ(ナポリ東洋大学)
第10章 国際政治経済からみる「東アジア共同体」 谷川真一(神戸大学)
第11章 安全保障からみるアジア共同体 ギブール・ドラモット(フランス国立東洋言語文化学院)
第12章 文化交流からみるアジア共同体 岸 清香(都留文科大学)
 
終章 やがて世界は一つになる 佐藤洋治(ワンアジア財団)

 

(国際文化学研究科・教授 坂井一成)