闇の美術史 カラヴァッジョの水脈

あらゆる美術は光の存在を前提としている。だが、革新性は闇によってもたらされた。17世紀イタリア、“光と闇の天才画家"カラヴァッジョの登場は、絵画に臨場感という衝撃的なドラマを生んだ。古代から近代の西洋美術、そして日本美術における光と闇の相克の歴史を、カラヴァッジョ研究の第一人者が読み明かす。闇の存在なしにドラマは生まれない。(出版社による内容紹介文)

イタリア最大の画家カラヴァッジョは、今年15年ぶりに日本で展覧会が開かれて話題となったが、私は2001年に日本で初めてこの画家の展覧会が開催されたときにその企画にも関わり、その後この画家についての研究をまとめ、5冊の本を刊行した。本書はカラヴァッジョだけでなく、その前後、つまり古代から中世、バロックの絵画と彫刻、ルネサンスから近代、さらに現代美術や日本美術における明暗表現や夜景表現について俯瞰し、美術史的に考察したものである。

 

目次

はじめに 光あれ
1 闇の芸術の誕生
2 光への覚醒-カラヴァッジョの革新
3 ドラマからスピリチュアルへ-カラヴァッジェスキとラ・トゥール
4 バロック彫刻の陰影
5 闇の溶解、光のやどり-レンブラントから近代美術へ
6 日本美術の光と闇
おわりに もっと闇を!

(人文学研究科・教授 宮下規久朗)