• 2024/01/31
  • 工学研究科
  • 受賞・採択
受賞者
工学研究科 講師 南本大穂
受賞日
2023年11月28日
受賞名
The APA Prize for Young Scientist 2023
業績名
Investigations of Electrified Interfaces under Plasmon Excitations through Electrochemical Spectroscopic Measurements
電気化学分光手法に基づく局在表面プラズモン励起下にある局所界面観測に関する業績

概要

光のエネルギーを高効率に化学反応やエネルギー変換に利用することは、持続可能な社会の実現という観点から見ても重要である。太陽光に多く含まれる可視光を利用するという観点から近年、金属ナノ構造へ可視光を照射することにより誘起される、金属ナノ構造中の自由電子の集団振動である局在表面プラズモン共鳴と呼ばれる現象に注目が集まっている。局在表面プラズモン共鳴が励起されると、金属ナノ構造周辺には入射光のエネルギーが光の回折限界を超えたナノ空間に強く局在した光電場が形成する。この電場空間内では、通常の光照射では見られない特異な光化学反応や、光電変換プロセスなどの興味深い現象が見られることが知られている。しかしながら、局所光電場内における分子の振る舞いや電荷移動過程といった点においては依然として不明な点が多いのが現状である。それらの情報の解明は、プラズモンが誘起する化学反応のより高効率な制御に向けて重要であると考えられている。

受賞者は、独自に開発した電気化学顕微振動分光法を用いることで、局所電場空間においてプラズモンが誘起する興味深い現象について探索してきた。それらの検討を通じて、分子の金属表面における拡散挙動に特徴的な変調が及ぼすことや、光エネルギー変換系における電荷移動過程、プラズモン励起に伴い見られる特異な電子遷移過程を初めて明らかにした。これらの業績は、高効率可視光エネルギー利用を可能にする将来のエネルギー変換技術の確立に繋がる基礎的な知見を与えるという点で、当該分野の学理構築と技術発展に大きく貢献するものである。

 

関連サイト

(工学研究科、研究推進課)