学長メッセージ

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学長

世界では今、地球温暖化、水資源の不足、エネルギー問題、宗教問題・地域紛争など、関係各国の協力が無ければ解決が不可能なグローバルレベルの問題が山積しており、持続可能な開発目標(SDGs)の採択やパリ協定の発効など、国際社会は人類の生存基盤である地球環境の保全と、持続可能な社会の実現に向けて大きく動き出しています。また一方で、自国利益のために他国との関係を見直すような動きが次々と起こっています。

このような地球的課題に対して、本学では環境憲章を踏まえ、伝統と特色を生かし、文系・理系という枠にとらわれない先端研究を推進し、新たな学術領域を開拓することが必要と考えます。

本学では、昨年平成28年4月に文理融合の「科学技術イノベーション研究科」を設立しました。この研究科では自然科学系の研究で生まれた「種」を、社会科学系の知見を活用して社会実装まで持っていく教育・研究を目指しており、環境問題、医療問題などへの貢献が期待されます。

また本年平成29年4月には、25年ぶりとなる新たな学部「国際人間科学部」を設置しました。この学部では、現代社会が地球的規模で協働して取り組むべき課題に対して、さまざまな専門分野からアプローチを行い、課題解決に向けたリーダーシップを発揮できる「協働型グローバル人材」を育成することから、地球環境の保全にも貢献が期待されます。

神戸大学は海と山に挟まれて緑に恵まれた景観の良い大学です。構成員の個々人が率先垂範して美しい大学を維持していくためには、大学全体がストイックに環境問題について取り組む気構えが必要です。

そこで本学では大学における全ての活動を通じて、現代の重要課題である地球環境の保全と持続可能な社会の創造に取り組むという、環境憲章の基本理念を踏まえた環境保全活動を実施することを、第3期中期目標に盛り込んでいます。廃棄物等の環境負荷低減を目指した3R活動、有害物質の管理や省エネルギー意識の啓発、環境に資する学生の育成、環境に関する研究プロジェクトなど息の長い努力を必要とします。神戸大学の構成員はもとより関係企業や地域社会の皆様には、神戸大学の環境活動への広く長いご支援をお願いします。

武田 廣 学長
平成15年4月 神戸大学 理学部長、バイオシグナル研究センター長
平成19年4月 同大 附属図書館長
平成21年4月 同大 理事
平成27年4月 神戸大学長