背景

 富士通総研では2007年頃より単なる未来予測にとどまらず、ステークホルダーによる希望を込めた“将来ありたい(あるべき)姿”から課題を設定し、研究開発の技術テーマや新商品のコンセプト抽出、自組織のありたい姿の設計などにつなげるための「未来洞察プログラム」を開発・実践してきました。一方で、身近な生活者の視点を捉えた課題定義から解決策立案手法としてアイデアソン/ハッカソンなどの短期間アイデア創出プログラムを多数の企業・自治体などに提供してきました。

 一方、神戸大学では2015年度より大学院の授業の一環として富士通・富士通総研とアイデアソンを実施し、授業内での評価にとどまらずに神戸ITフェスティバル、SXSW(South by South West)、クロスメディアイベント「078」などで、その成果を発信してきました。

 本年度より両者による共同研究を実施し、「こんな未来社会にしたい」というありたい姿を設定し、未来への意思を持つことが、現状との差分を明らかにし、より質の高いアイデア創出を促すことに着目しました。これにより、未来洞察プログラムとアイデアソンの要素をベースにしつつ、異なるセクターの人々同士で未来を描きながら(=Insight)、喫緊の課題にのみ終始することなく、抜本的かつ持続的なアイデア創出と検証を短期間で行う(=Out)ことが可能な新規事業創出プログラム、「Insight-Out」を開発するに至りました。

「Insight-Out」プログラム概要

 本プログラムにはこれまでアイデア発想のプロセスや共創に関する研究・教育を重ねてきた藤井氏の知見を取り入れており、前半2日間を未来の予測から課題設定を行う<未来洞察フェーズ>、後半3日間を課題解決のためのアイデア創出を短期間で実現する<プロトタイピングフェーズ>とし、合計5日間で未来のプロトタイピングを行います。企業の新規事業やR&Dだけでなく、新たなまちづくり・政策立案への住民参加(オープンガバメント)などにも適用可能です。


ポイント

  • これまで異なるアプローチとして別個に実施していた「未来洞察プログラム」と「アイデアソン」を一つのプログラムに融合、再構築。
  • 多くの場合は数か月、ときには年単位で行われる未来洞察を本プログラムでは全日程5日間に凝縮。未来社会のデザインからアイデア創出までの時間的制約を緩め、短期に実施が可能。
  • 神戸大学の学生を対象にプログラムを実施し、企業から見学者を募りフィードバックを受けるなど、企業向けに導入することを想定し改良。

プログラム受講によるメリット

  • 【1】未来洞察を踏まえることで、質の高いアイデア創出を実現
    課題解決のためのアイデア創出において最も大切なのは「いかに未来を考え、希望を持ち、変化していきたいという意思をもっているか」です。本プログラムでは、未来洞察により個人・企業が持つその意思を引き出し、より良いアイデア創出につなげます。
  • 【2】必要期間の短さ
    全工程5日間という短さのため、実施ハードルが下がるのはもちろん、主催側に加えて、ステークホルダー(協力会社やパートナー、地域の関係者、生活者)を巻き込んでの実施なども検討しやすい形になっています。これから新たな関係をつくり価値を生み出していきたい場合にも有効です。
  • 【3】自分たちで自走・反復し継続的に実施できる立て付け
    少なからず不確実性を含む行為だからこそ、未来洞察は繰り返し、そして継続的に行うことが必要です。本プログラムでは、初回の実施以降も自力で運営していけるような、未来洞察やアイデアソン向けのテキスト、ワークシートなどを提供するため、継続してプログラムを実施することができます。

ターゲット

  • 新規事業・新商品開発部門
  • R&D部門
  • 大学や他企業との共同開発を推進されている部門
  • 地域住民や企業とのオープンガバメントを推進する行政機関

注釈

  • (注1)未来洞察プログラム
    ワークショップをベースに、ターゲットとする顧客業界・自社業界の2つの未来を洞察。その上で企業・個人の“将来ありたい姿”を想像することで、より独創的な戦略領域やビジネスモデルの策定、新規事業開発などを行います。また、一連のプログラムを通して、自分たちで未来を描き、問題を設定することのできる「未来開発型」の組織形成を促します。
  • (注2)アイデアソン
    特定のテーマについて参加しているメンバーが立場を越えて共に考え、対話を通じて新たな価値の創造に取り組むもの(最終的にもっとも秀でたアイデアを決定するなどして競技性を持たせることもある)。個が保有するにとどまっていた知見を共有することで新たな集合知を形成することができ、共創やオープンイノベーションの方法として有効とされています。

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