参考図: 評価に用いた頭部装着型ディスプレイのひとつ、VUSIX M100を装着した様子

 神戸大学大学院工学研究科の寺田努 (てらだ つとむ) 教授は、株式会社モリサワ (代表取締役社長:森澤彰彦、以下モリサワ) と共同研究を行い、“動きながら読む”ことに適しているフォントを装着型ディスプレイによる実機評価により調査しました。今後、ARやVRなど多方面への発展が期待されます。

 本研究は、2019年9月11日(水)~13日(金) にロンドンで開催される、ウェアラブルコンピューティング分野における国際会議「ISWC 2019」で登壇発表される予定です。

研究の内容

 近年、デジタルデバイスの軽量化、インターネット通信技術の発達などにより、様々な場面でウェアラブル端末の使用が増加しています。ウェアラブル端末の利点の一つとして、身につけることが可能なため使用者の行動が制限されないことが挙げられますが、動作を行う際、歩行や階段の上り下りなど揺れの影響で、画面に表示される文字情報が読みづらくなることが想定されます。

 そこで本研究では、「頭部装着ディスプレイでの画面揺れを考慮したフォントの可読性・可視性」をテーマとして、どのようなフォントが“動きながら読む”ことに適しているかを調査し、結果をまとめました。その結果、明朝体においては横線が細いため歩行による縦振動の影響を受けやすく、横線が太い特殊な明朝体を利用すべきであることが示唆されました。また、ゴシック体では、より読みやすさを重視して濁点や半濁点を大きめに配置したユニバーサルデザインフォントを評価したところ、静止環境では確かにユニバーサルデザインフォントが読みやすかったものの、歩行時にはその大きめの配置が逆効果となり、一般のゴシック体の方が読みやすくなるといった特性を明らかにしました。このように、頭部装着型ディスプレイやスマートウォッチなど、新しい情報機器の登場に対してはそれらに適したフォントが存在することがわかり、今後のフォント利用のガイドライン策定にもつながる研究の実施となりました。


参考図: 読書速度の評価例。静止状態ではUD(ユニバーサルデザイン)フォントが優れているが、歩行中では逆の結果となった。

 今回、モリサワは、比較対象となるフォントの選定や提供で協力。ウェアラブル端末における可読性は、静止した状態だけでなく動きながら読むことが前提になるなど、フォントの開発にも従来の印刷やサイン用途と異なる視点が求められます。

 本研究は今後、ARやVRなど多方面への発展が期待されます。

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