神戸大学内海域環境教育研究センターの川井 浩史教授、羽生田 岳昭助教と、理学研究科生物学専攻の竹内和沙さん (2018年度修了生) は、東北地方の太平洋沿岸で採集される褐藻が新種であることを示し、「サンリクモズク (Tinocladia sanrikuensis)」と命名しました。

 この研究成果は、4月1日に、日本藻類学会英文誌「Phycological Research」にオンライン掲載されました。


新種発見の経緯

 サンリクモズクは、地域によっては食用にもされるフトモズク(Tinocladia crassa)という種類と外観が非常によく似ており、区別されていませんでした。しかし、十数年前に宮城県南三陸町でフトモズクとして採集していたものについて遺伝子解析を行った結果、別の種類である可能性が明らかになりました。

 そこで2016年に同じ地点で再び採集を試みましたが、東北大震災による津波などの影響による海況の変化のためか、採集できませんでした。それ以降、周辺の海岸を丹念に探していたところ、2017年6月にようやく再び同じ種類と考えられるものが採集できました。そして、採集できた褐藻を用い、形態学的観察とDNA塩基配列の解析を行った結果、この種をフトモズクとは別種であると結論付けました。

 この種類は今後、その特徴などが広く知られるようになれば、他の地域からも見つかる可能性がありますが、これまでの所、三陸海岸の一部地域でしか確認されておらず、「サンリクモズク (Tinocladia sanrikuensis)」と命名しました。

サンリクモズクの特徴

 サンリクモズクは波当たりが比較的弱い海岸の、低潮線付近から漸深帯上部の岩盤や大礫等の上に、春から夏にかけて生育する一年藻です。

 フトモズクによく似た外観を示し、ぬるぬるした手触りの多軸構造の円柱状で、一回ないし二回分枝し、成長するとわずかに中空になります。

 遺伝的にはフトモズクと最も近縁で、また基本的な藻体の構造も共通していますが、より細く、また長い同化糸を持つことで形態学的に区別されます。また、本種の独立性はミトコンドリアのcox1およびcox3遺伝子、葉緑体のatpB, psaA, psbA およびrbcL遺伝子の塩基配列解析結果によっても示されています。

論文情報

・タイトル
Tinocladia sanrikuensis sp. nov. (Ectocarpales s.l., Phaeophyceae) from Japan
DOI:10.1111/pre.12367

・著者
羽生田岳昭、竹内和沙、川井浩史

・掲載誌
Phycological Research(日本藻類学会英文誌)

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