日時
平成20年11月27日 (木)  13:00~15:25
場所
神戸大学本部 大会議室
出席者
野上議長 (学長)、堀尾委員、土井委員、薄井委員、太田委員、中野委員、安藤委員、太田和委員、鈴木委員、天野委員、佐藤委員、谷井委員、新野委員、濵委員、平野委員、水越委員
(オブザーバー) 中村監事、枡田監事、杉村病院長
欠席者
井戸委員、河内委員、矢田委員
議事要録について
第17回経営協議会の議事要録について、12月3日までに意見を頂き、役員会として確認の上、神戸大学のホームページに公表する旨説明があった。
協議事項
[委員からの主な意見等 (○: 意見・質問、→: 回答)]
  1. 国立大学法人神戸大学の平成19年度に係る業務の実績に関する評価結果について

    本学の「平成19年度に係る業務の実績に関する評価結果」、 「国立大学法人・大学共同利用機関法人の平成19年度に係る業務の実績に関する評価結果の概要」及び「同改革推進状況」について報告があった。

    ○ 国立大学法人評価委員会の訪問調査はどのように行われているのか。

    → 2日間の日程で3名が来学し、責任者 (学長、理事等) との面談のほか、 教員、職員、現役学生及び卒業 (修了) 生との面談、授業の視察及び施設の調査を行っている。

  2. 平成20年度神戸大学医学部附属病院上半期中間報告及び損益着地予想について

    医学部附属病院の中間決算及び損益着地予想の当初計画との比較について報告があった。

    ○ かなり努力をしても病院経営は非常に厳しいということであるが、経営に関して同規模の附属病院と比較して評価を行っているのか。

    → 各大学の動向は非常に気になるところであり、 公式に発表された資料を基に比較資料を作成し、 全国の42大学附属病院の経営状況を分析している。 本院の収入は、年8%伸びており、他大学と比べても、よく頑張っていると考えている。

    その後、各大学の平成19事業年度財務諸表等を基に作成した附属病院の業務損益と実質利益に関する平成19年度と平成18年度の比較資料等を配付し、次のとおり説明を行った。

    全国立大学附属病院の業務収益 (病院の収益、運営費交付金、寄付金の合計) の合計は前年度比約600億円の増、 損益の合計は前年度比約56億円の増となっている。 また、実質利益と言われている修正損益 (業務損益-附属病院における財務上の利益発生要因+目的積立金取崩) では、 平成18年度に赤字であったのは18大学で合計約96億円だったのが、平成19年度に赤字であったのは16大学で約45億円となっており、 いずれも減っている。目的積立金を取り崩している大学もあるが、 各大学が意外に収入を上げており、現金も残している。 このように、公表された決算書上では各大学が努力していることから、 全ての病院経営が一概に厳しいと訴えるには難しいものとなっている。

    ○ 各大学が団結して問題を解決すべきではないか。

    → 余裕のある大学と逼迫している大学の格差が非常に大きく、足並みを揃えるのが難しい状況である。 国立大学協会では、国立大学附属病院長会議での意見を受け、 国立大学法人全体の問題として捉え、より積極的なアプローチを行っていくことを決めたが具体的な方策はまだ決まっていない。

    ○ 全国の大学附属病院の収益に関しては、地域ごとの病院の構成、患者数、 診療所と病院の比率等と密接な関係があるが、 これらについての研究はあまり行われていない。 神戸大学において、日本の医療体制進展のため、是非こういう研究を行ってほしい。   

    日本は、今医療危機に陥っており、 病院の経営、地域医療をどのように再建するかについて大きな課題となっている。 これらについて、大学で研究を行い、はっきりと数字を示した上で解決するための政策を提言する必要があるのではないか。 医療は国民生活にとって大きな比重を占めており、ここがだめになるとこうなるということを PR できる研究を行う必要がある。 医学研究科、経営学研究科及び経済学研究科が一緒になって研究を進めてはどうか。 社会に対して、はっきりと数字を示せば、現状を理解してもらえるのではないか。

    ○ 現在、医師が足りないという話になれば、 必ず都市への集中や小児科医、産科医の減少が言われる。 医師数に関しては、OECD のデータがあり、 10万人当たり300人程度が世界の平均値となっている。 日本の医師数は、10万人当たり200人足らずで、 東京や大阪といった大都市においても平均値には達していない。この事実を隠して、医師の偏在という話に置き換えてしまっているが、 医師が1,000人に2人しかいないことが問題であるとなれば、 社会の支持を得ることができるのではないか。社会に対しては、 数字をはっきり示して説明する以外に方法はない。

    → 現在、国立大学協会の中に具体の数字をキャッチアップするセクションが設けられているが、 指摘いただいたレベルには到達していないと思う。 まずは本学の問題として、同じような環境下にある大学と連携しながら、進めていきたい。

    → 附属病院では、 経営学研究科及び経済学研究科の研究科長と病院経営や事業計画を評価するセクションを大学内に作るべきではないかと議論を進めている。

    ○ 平成18年度と平成19年度では各大学の順位が大きく入れ替わっているが、 なぜこのように順位が変動するのか。順位の変動が大きいのは、 単に経営上の問題ではなく、会計制度に問題があるのではないか。

    → 公表された決算書 (セグメント情報) において、 平成18年度に赤字であった同規模の病院が、 平成19年度は突然黒字になっていた。 この決算書だけでは、 具体の数字を示して問題点を指摘することや、順位の変動を分析することは困難である。

  3. 目的積立金の取り崩しについて

    平成20年度は附属病院の経営改善、平成21年度は総合研究棟 (生命・分子系) 新営に伴う追加工事、 学内ネットワークシステム更新及び財務会計システム更新のため、 目的積立金を取り崩すことについて説明があり、審議の結果、原案のとおり承認した。

    ○ 国立大学も法人化されており、病院だけではなく、 大学分についても減価償却が必要である。大学分の施設整備及び設備更新に係る費用を目的積立金から取り崩すのは筋が違う。 中期計画の中にはこれらも盛り込んで工夫しておく必要があるのではないか。

    → 大学部分の減価償却に係る会計処理については、 現在は国立大学法人の特徴的な会計処理として、損益均衡となる仕組みとされているため、 運営費交付金又は目的積立金で資産更新を行うものである。   

    また、附属病院では、減価償却以上に借入金の返済を行わなければならないのが現状である。

    ○ 文部科学省をはじめ、あらゆる機会を捉え附属病院の現状を訴えていくべきである。   

    また、多少なりともお金があるのであれば、必要な投資はすべきであるが、慎重に行う必要がある。

    ○ 経営学研究科の専門家に分析を行ってもらい、社会に対して実状を訴えていくべきである。

    ○ 井戸委員からの提案書に「医師派遣等による地域医療の確保」という項目があるが、 医療問題に関しては、行政と大学が一体となって社会に対して実態を訴えていく必要があるのではないか 。最近は、救急医療、地域医療及び周産期医療が社会問題となって、社会の関心が高くなり、 医師を確保するため医学部の学生定員を増やすことになったように、 具体的な例で社会の関心のあるところに訴える必要がある。

    → 附属病院では、兵庫県と定期的に検討を行っており、 今後も連携を深めて問題を解決していきたい。

  4. 平成20年度学内補正予算について

    学内補正予算にについて説明があり、審議の結果、原案のとおり承認した。

  5. 平成20年度補正予算国立大学法人等施設整備費補助金 (文教施設費) 実施事業について

    平成20年度の補正予算による施設整備費補助金 (文教施設費) 実施事業として、耐震対策事業が認められた旨報告があった。

  6. 文部科学省等からの外部資金獲得状況について

    平成18年度から平成20年度までの国公私立大学を通じた大学教育改革の支援プログラム、 科学研究費補助金等、神戸大学における外部資金獲得状況について報告があった。

  7. その他

    (1) 遺伝子組換え生物等の不適切な使用等について

    本年6月に文部科学省から遺伝子組換え生物等の不適切な使用等について厳重注意を受け、 遺伝子組換え生物の使用に関して精査した。 その結果、法令に対する理解が不十分であったことから、 本来、執るべき拡散防止措置について、法律に基づき大臣確認を受けなければならなかったところ、 この確認を受けずに遺伝子組換え実験を行っていたことが判明した。 そのため、文部科学省から再発防止策を徹底するよう10月22日付けで文書により厳重注意を受けたこと、 再発防止策としてのレシポンシブル・ケア活動の取り組み状況及び全学生を対象とした倫理研修を実施することについて報告があった。