日時
平成21年1月23日 (金) 13:00~15:45
場所
神戸大学大学院国際協力研究科 大会議室
出席者
野上議長 (学長) 、土井委員、薄井委員、太田委員、中野委員、安藤委員、太田和委員、鈴木委員、天野委員、佐藤委員、谷井委員、新野委員、濵委員、平野委員、水越委員
(オブザーバー) 中村監事、枡田監事、杉村病院長
欠席者
堀尾委員、井戸委員、河内委員、矢田委員
議事要録について
第18回経営協議会の議事要録について、1月29日までに意見を頂き、役員会として確認の上、神戸大学のホームページに公表する旨説明があった。

[委員からの主な意見等 (○: 意見・質問、→: 回答)]

1. 国立大学法人神戸大学の中期目標を達成するための計画 (中期計画) の変更について

平成21年4月の医学部医学科の入学定員増及び大学院国際協力研究科博士後期課程の入学定員減に伴い、中期計画を変更する旨説明があり、審議の結果、原案のとおり承認した。

2. 平成21年度年度計画重点事項について

平成21年度における年度計画の重点事項について説明があった。○ 企業においては、環境に対する問題を経営の大きなテーマとしている。大学においても環境問題への取組が必要ではないか。

また、研究活動、研究組織について、点検・評価の結果を必要な研究者の配置や予算の配分に反映させる際には、神戸大学として行うべきことは多くの事項があるが「選択と集中」を行う時期に来ているのではないか。

→ 環境問題全般に大学として真摯に取り組んでいきたいと考えている。なお、環境教育については、本学の現状をまとめたところであり、今後、教育内容の点検等を行う。

○ 「選択と集中」は、予算を制約するだけではできるものではない。何を選択し、どこに集中していくか、どこを切り捨てるのか、血を流すような形になるとしても構成員全員がやろうという意識を持ち、議論していく必要がある。真剣な議論の場を設けなければ、今回のような項目だけを並べたものとなってしまう。今の世界経済の動きからすると、抜本的に組織の在り方を見直す必要があり、学問の在り方についてはこれらに役立つような形で考えなければならず、医療、福祉、環境、自然災害等に対して、神戸大学が持つ能力を最大限に活かせるようにするための中期計画等を策定していただきたい。

○ 国際戦略の重点事項として、「ダブルディグリー・プログラムの開発」や「EU・アジア・本学間三極連携による教育研究体制の構築」が掲げられているが、平成21年度に実施する体制は整っているのか。

→ ダブルディグリー・プログラムに関しては、現に行っている研究科があり、また、三極連携に関しては、幾つか候補の国があることから平成21年度の実施体制は整っている。

○ 教育の重点事項として「GPAの具体的な実施案の策定」が掲げられているが、GPAを実施している日本の大学で、学生のレベルや教育内容が低下していることが問題となっていることも踏まえた上で検討を進める必要がある。

アメリカのようにカリキュラムが体系的になっており、標準偏差に応じた形の評価基準が画一的に確認された上で実施するのであればよいが、日本の現状はそうはなっていない。学士力が問題となっている日本でGPAの在り方を考える際に、1年次からカリキュラムの在り方を根本的に変える必要があるが、学内で合意できているのか。

GPAは、ほとんど実施できない危険性があることも踏まえた上で、年度計画の評価にも影響することから再度検討いただいた方がよいのではないか。

→ GPAに関しては、平成21年度に具体的な実施案を策定し、平成22年度から実施することを予定している。学内で1年半ほど前から検討しているが、ご指摘いただいた点の検討に時間を要している。次の協議事項である中期目標の達成状況に関する評価結果において改善を要する点として指摘されており、GPAを実施せざるを得ない状況となっている。これから詰めなければならない点は多くあるが、学内のコンセンサスを得ながら進めていきたい。

○ 神戸大学の国際戦略がここからは全然見えてこない。関西主要三大学の中で、最も国際化の可能性が高いのは神戸大学である。学生を国際化するためにはどのようにすべきかということが問題であるが、大学が学生を海外に派遣するのではなく、学生が自ら海外に行くようにしなければならない。そのためには英語の授業を増やし、日本人学生のベーシックな英語のスキルを上げる必要がある。国際化の現状を調査した上で、国際戦略の見直しを行ってほしい。

○ 中央教育審議会からの答申『学士課程教育の構築に向けて』に関して、学内で十分に検討していただきたい。日本の学部教育は危機に瀕している。FDが義務化されたが、教育のテクニックを変えようというものではなく、前提となっているのは教員の意識改革である。学士課程教育の問題は、大学教員全員の問題であり、専門教育、それにつながる全学共通教育をどのようにすべきかについて、大学の先生方に考えていただきたい。。

→ 中央教育審議会の答申に関しては、各部局の教育担当者による検討会を設け、次期中期計画に向けて、今後、どのような教育戦略を部局ごとに立てていくのかを取りまとめたところである。

○ 研究の重点事項として掲げている「神戸大学が世界的に卓越した研究を選択し、コア研究と位置付ける」際には、国家基幹技術を組み合わせることが非常に重要である。世界的に卓越したという意味での研究施設としては、SPring-8があり、それに続くX線自由電子レーザー施設がSPring-8と同じ敷地内に隣接する形で建設される。また、次世代スーパーコンピュータ施設も神戸ポートアイランドに建設中であり、神戸大学は良い立地条件にある。問題は、これらを使ってどれだけの卓越した研究ができるかということであるが、地元の大学として是非頑張っていただきたい。

○ 単年度の計画では大学の大きな目的が見えてこないことから、教職員、学生から見て何を求めているのか読みとることができない。大学が変わるためには、大きな目的を教職員、学生が共有し、どのように役割を果たすべきかについて見えるようにしなければ、前には進めない。目的が明確で、物事を積み重ねている大学では、優秀な人材が育成されている。

○ 文部科学省と経済産業省との連携で行われている産学人材育成パートナーシップ会議では、産業界が求める人材の育成など、いろいろな問題が提起されている。これらの点について、神戸大学としてどのようなことができるのかということを検討することも必要である。

○ 運営費交付金が毎年削減されている現状において、目的を達成するためには競争的資金はもちろんのこと、いかに資金を多く獲得するかが非常に重要である。神戸大学が制度化している神戸大学基金に関して、その努力は高く評価したいが、この資金獲得の体制を他大学以上のものに拡充し、工夫していかなければ競争には勝ち残れない。

3. 中期目標期間における教育研究評価の評価結果 (案) について

中期目標の達成状況に関する評価結果 (案) 、学部・研究科等の教育に関する現況分析結果 (案) 及び学部・研究科等の研究に関する現況分析結果 (案) について説明があり、審議の結果、事実誤認であるものについては大学評価・学位授与機構に申立を行った上で、評価結果 (案) 及び現況分析結果 (案) を大学として受け入れることを了承した。

なお、申立の内容については学長に一任することを併せて承認した。

○ 評価結果 (案) について、大学としてどのように受け止めているのか。

→ 全体としては、納得のいくものではない。4 (期待される水準を大きく上回る) か3 (期待される水準を上回る) かに関しては、評価者によって、若干差があるように感じている。

→  研究に関する現況分析結果については、かなり厳しいと感じているが、結果はしっかりと受け止めて、今後、研究や教育に関して部局単位ではなく、全学として取り組んでいき、社会に認知されるよう努力していかなければならないと考えている。

○ 中期目標期間に係る業務に関する評価のうち、法人の全体評価及び項目別評価と比較して、学部・研究科等の教育及び研究に関する現況分析結果は、かなり厳しくなっている。このような評価結果が足し合わされて予算配分の仕組みに関係してくるとなると問題である。学部・研究科等の教育及び研究に関する現況分析の評価基準とその他の評価全体の仕組みとの関係をどこかで検討する必要があるのではないか。

○  日本の教育・研究をよくするために、学部・研究科等の教育及び研究に関する現況分析の評価システムが機能しているのか。問題があれば、国立大学協会などを通じて指摘すべきではないか。

→ 評価に関する問題点を、国立大学協会としてメッセージを出すようにしていきたいと考えている。 。

4. 平成21年度予算の内示について

平成21年度における国立大学法人等全体の予算案概要、本学に係る予算予定額の概要、特別教育研究経費予定額、平成20年度第2次補正予算案における設備整備費補助金事業及び平成21年度予算案における国立大学法人等施設整備の実施予定事業について報告があった。