日時
平成21年3月23日 (月)  13:00~16:45
場所
神戸大学本部 大会議室
出席者
野上議長 (学長)、土井委員、薄井委員、太田委員、中野委員、安藤委員、太田和委員、鈴木委員、天野委員、井戸委員、河内委員、佐藤委員、谷井委員、新野委員、濵委員、平野委員
(オブザーバー) 中村監事、枡田監事、杉村病院長
欠席者
水越委員、矢田委員
議事要録について
第19回経営協議会の議事要録について、3月30日までに意見を頂き、役員会として確認の上、神戸大学のホームページに公表する旨説明があった。
協議事項

[委員からの主な意見等 (○: 意見・質問、→: 回答)]

1. 平成21年度年度計画について

前回の協議会での意見を反映した平成21年度年度計画の重点事項を中心に説明を行い、審議の結果、本日の意見も反映させることで、原案を承認した。なお、文言修正については学長一任とすることを併せて承認した。

○ 神戸大学は、国際化拠点30大学の採択条件に、どのように対応していくのか。また、外国人教員の比率は条件とならないのか。

→ 条件はいろいろあるが、その中でも「英語のみの授業による学位の取得」、「渡日前入試の実施」及び「学生寮の充実」の3つが重要と考えている。なお、外国人教員の比率は、現時点では未定である。
1つ目の「英語のみの授業による学位の取得」に関しては、学部では体制を整えるのは難しいが、大学院においては博士後期課程で既に英語のみで学位を取得できる研究科があり、修士課程の体制をどのように整えるかが課題と考えている。2つ目の「渡日前入試の実施」に関しては、これまで構築してきたネットワークを利用しつつ、複数の国で入試が実施できる体制を整えることを考えている。3つ目の「学生寮の充実」に関しては、留学生と日本人学生を同じ学生寮とすることを考えており、寄宿料については、全学の学寮整備計画の中で検討することとなっている。
本学としては、公募要領が公表され次第、すぐに対応できるように作業を進めたいと考えている。

○ GPAを確立するための条件を整える工夫をしているのか。

→ GPAに関しては、平成21年度にカリキュラムを体系的に整えるなど、具体的な案を詰める予定であるが、これまで検討を重ねてきた中で、GPAに対して学内のコンセンサスを得るためには、各教員の成績評価基準を統一する必要があり、これが一番の課題である。

○ 国際化と日本の国家戦略を組み合わせて考える上で、日本の総合大学の中、唯一神戸大学でしかできないことは海洋分野に関してである。総合大学としての特性を活かしつつ、海洋分野における人材の育成と国際化を組み合わせることを検討してみてはどうか。

→ さらに検討を進めたい。

○ 会社説明会を幾度も開催し、大学ごとの開催も行ってきたところ、学生の参加率が非常に高くなった。また、説明会に社員である卒業生を多く出席させるようにしたところ、学生達が非常に喜んでくれた。個人情報保護法の関係で、学生達がOB・OG訪問ができないようになっていると聞いたが、工夫すれば何とかなるのではないか。
採用部門の責任者として、神戸大学の学生とも面談したが、話を長く聞かないと長所を自分で表現できていないと強く感じた。これを本人に気付かせれば、プレゼンテーション能力が向上するのに、もったいないなと感じた学生が数多くいた。キャリアセンターが随分頑張っていることは承知しているが、学生達には、外部の人間から「気付き」について何らかのきっかけを与えるようにすべきではないか。

→ OB・OG訪問に関しては、工夫する余地があると思うので、キャリアセンターと検討していきたい。
また、「気付き」に関しても、労力をかければ改善できるので、検討していきたい。

○ 国際化に関して、英語力があるにも関わらず、海外留学をしたいという学生が非常に少ない現状を改善すべきではないか。学生達が意欲的に取り組むことができるよう工夫が必要ではないか。

→ 制度的、環境的な工夫をしていきたい。日本の大学で国際化が遅れているのは、コミュニケーションが図れていないことが問題であり、本学でもこれからどのようにしてコミュニケーションの場を作っていくかが課題と考えている。

○ 社会貢献の重点項目に「社会のニーズに応じ、教員免許状更新講習を実施する。」とある。これに関しては、総合大学でなければできないこともあるが、大学としてどのように取り組むこととしているのか。また、継続的に実施するのであれば、コスト計算をきちんとして収益があがるようにすべきである。

→ この1年間、学内において、総合大学の特色を活かしつつ、全学的にどのように連携を図るかについて協議を進めてきた。平成21年度においては、発達科学部と海事科学部で実施することとしているが、今後は、附属学校も含め、全学的な体制で実施していくことを予定している。

2. 平成21年度予算について

当初予算 (案) のポイント、予算予定額の概要 (運営費交付金算定上) 及び学内予算配分状況推移 (大学分) について説明を行い、審議の結果、原案のとおり承認した。

○ 資料「当初予算 (案) のポイント」中、重点的・戦略的な事業の推進に充てる、とあるが、重点的・戦略的な事業は明確になっているのか。

→ 本学においては、「神戸大学ビジョン2015」を具体的な活動に展開するための政策・実施項目を策定しており、これらの項目に合致するものに配分していくこととしている。

○ 戦略的な配分は重要なことであるが、問題はその成果をどのように評価するかということである。この評価が形式的なものにならないようにすべきで、それが研究や教育の中で、神戸大学として個性のある成果として、一つでも二つでも生まれてくることにつながっていかないといけない。

→ 引き続き、努力したい。

○ 情報化推進経費 (電算借料等経費) は4億円を超えているが、他の大学で、大学の情報処理関係は極めてシステムが古く、無駄なお金を使っているという話であった。神戸大学は大丈夫なのか。

→ 本学では、情報通信技術の計画的な導入・運用体制の構築・整備を積極的に推進するため、「神戸大学ICT戦略」を策定した。、外部から専門家を採用し、平成21年度年度計画の重点事項として掲げ、取り組みを始めたところである。

○ 経済状況が厳しくなっているが、学生、留学生の学業維持に関して神戸大学の状況をお聞かせ願いたい。

→ 留学生に関しては、金融危機が起こる前から貸付を行うことを目的とした外国人留学生後援会を創設しており、すぐに対応できるように体制を整えている。今のところ、この貸付制度によって補うことができている。また、企業の採用内定取消問題を受け、採用内定を取り消された学生が、留年してもう一度就職活動を行う場合は、特例として、授業料免除申請を受け付けることを大学として決定している。

3. 平成21年度教育研究活性化支援経費の暫定配分について

暫定配分 (案) に係る配分明細、収入見込及び収支イメージについて説明を行い、審議の結果、原案のとおり承認した。

○ 資料3の「学長戦略経費」と資料2の「学長・病院長裁量経費」はどういう関係になっているのか。また、これらの経費とビジョン推進経費が、新しい大学創りに関係した経費支出となるが、どの程度あるのか。他大学の状況も含めて説明願いたい。

→ 「学長戦略経費」は、競争的資金等外部資金の間接経費から、「学長・病院長裁量経費」は運営費交付金から配分しているもので、学長が裁量により使用できる金額は、約2億円となっている。これらを含めて、本学において、戦略的に使う経費は、運営費交付金からの14億円と競争的資金等外部資金の間接経費からの6億円となっている。なお、大学によって学長裁量経費の考え方が違うこと及び公表されている決算書からは戦略的な経費は分かりにくくなっているので、他大学との比較は難しい。

4. 神戸大学医学部附属病院「平成20年度決算見込及び平成21年度経営計画」について

平成20年度決算見込及び平成21年度経営計画について説明を行い、審議の結果、平成21年度経営計画を承認した。

○ 地域医療に関して、一番の問題は、医師不足である。兵庫県全体では、この10年間で医師が800人増えているが、どこに消えたのかが一番の問題である。医療制度の問題点を具体的に提案していかなくてはならないが、このままでは国公立病院が最後の砦となり、責任を負わされかねない。このような仕掛けをどのように変えていくのが望ましいのか、そういう面でスクラムを是非組ませていただきたい。

→ 医療制度において、地域医療に対する補助金制度を充実すること、高度医療に対する診療報酬を手厚くすることが必要であると考えている。医師不足に関しては、医療の多様化も一因となっているが、家庭を持つ女性医師が本当に良い環境で働ける状況にすることも重要である。

○ 大変な苦労の中で、これまでの経営努力や改善に関する取組に対して敬意を表したい。併せて、大学病院は、経営改善を行うことが目的ではなく、良い若い医師を育てることにあることも忘れないでいただきたい。今回、研修医が増えているが、どのようにして増やすことができたのか。

→ 研修医を増やすには、地道な努力と広報が非常に重要と考えている。本学では、魅力ある研修プログラムとするために、各教員が講義に力を入れるとともに、いろいろな形で研修医を募集してきた。また、北米の研修制度が非常に進んでいることから、ハーバード大学やハワイ大学から大リーガー医を招へいし、英語で授業やトレーニングを行ったことが非常に有効であった。

○ 神戸医療産業都市構想によって、ポートアイランドにはいろいろな中核施設が整備されつつある。神戸大学も将来的にこれらを活用することを考えてはどうか。

→ 本院にも参画しないかという話はいただいており、検討を行っているところである。

○ 大変な経営努力によって、経営が改善されているが、患者さんにはどのように反映されているのか。

→ 患者さんに対しては、待ち時間を減らし、よりよい医療を提供するよう心掛けている。また、看護師を増員したことにより、緊急事態への対応及び手厚い看護を行うことができるようになり、患者さんの立場からすると安心できる状況になっている。

○ 経営損益収支予測検討表の費用欄で、医薬品費及び診療材料費の診療経費率は横這いであるが、人件費の診療経費率が下がる予測となっている。医療サービスの品質及び収益の向上等を図る場合、人件費の診療経費率は上がっていくのが普通であるが、大丈夫か。

→ 診療報酬制度が2年ごとに改正されることから、長期計画が立てにくくなっており、現状はこの形に留めている。今後、経営状況が良くなれば、人的投資を増やしていきたいと考えている。

5. 平成21年度に係る就業規則等の改正等について

「大学教員以外の職員の再雇用制度の見直し」、「休暇制度の整備」等に伴い、職員就業規則等を一部改正することについて説明を行い、審議の結果、原案のとおり承認した。

6. 学則等の一部改正について

組織の変更等に伴い学則等を一部改正することについて説明を行い、審議の結果、原案のとおり承認した。

7. 認証評価の評価結果 (案) について

大学機関別認証評価、法科大学院認証評価及び経営学研究科現代経営学専攻 (専門職大学院) 認証評価の評価結果 (原案) について説明を行い、審議の結果、それぞれの評価結果 (原案) を大学として受け入れることを了承した。

8. 中期目標期間 (平成16~19事業年度) に係る業務の実績に関する評価結果 (原案) について

評価結果 (原案) について説明を行い、審議の結果、評価結果 (原案) を大学として受け入れることを了承した。

○ 教育と研究に係る評価結果 (原案) について、大学としてどのように受け止めているのか。他の大学でも、多くが教育と研究は「おおむね良好」、その他の財務等は「良好」であり、明らかに教育と研究の評価水準が全体として低いという問題がある。評価結果を運営費交付金の配分に反映させるという話もあるが、どのように反映させるかについての説明もなく、評価結果がほとんど同じであれば、何も変わらないことになる。また、評価結果の判断理由に、「学部・研究科等の現況分析における関連項目の結果も勘案して、総合的に判断した。」とあるが、何をどのように勘案したのかも分からない。この評価システムが機能しているのかについて、大学側から異議を申し立てられても不思議がない評価になっている。内部で子細に検討し、問題があれば、異議申し立てをすべきである。

→ 一部については、改善すべき事項もあると認識しているが、一部については、異議申し立てをして修正されたところもある。次期中期計画においては、PDCAサイクルが活用できるように中期計画、年度計画を立て、自己評価の枠組みをもう少しきちんとした上で、それらに対する報告書を作成し、内外に公表して、大学としての使命を果たしていきたい。

9. 神戸大学基金について

基金創設記念期間の事業の総括と今後の方針について報告があった。

10. その他

1) 平成21年度神戸大学行事予定について
平成21年度神戸大学行事予定について報告があった。