新時代のグローバル・ガバナンス論 制度・過程・行為主体

2021年01月20日

国際協力研究科の西谷真規子准教授が新著を出版されました。

概要

世界の秩序はどのような仕組み(制度)で、どのような過程を経て、誰(行為主体)によって動かされているのだろうか?本書は、この問いを検討すべく、複眼的な視点で最新の学術的成果を整理したグローバル・ガバナンス論の解説書である。

主権国家を至上主体とするウェストファリア体制の揺らぎが指摘されて久しいが、今日では関与主体の多様化はもちろん、争点領域の多様化・複合化とガバナンスの多層化が進展し、開発、人権、保健、環境、資源など様々な分野で、権威が多元化したグローバル・ガバナンス・システムが出現している。本書は、多主体性、多争点性、多層性、多中心性を特徴とする現代グローバル・ガバナンスを、国際関係論の理論と実例から概説する。

現代の世界秩序は一元的な階層体制ではなく、多様な制度と行為主体によって彩られる政治過程である。基本的な制度は国際法を基盤として構築されるが、拘束力の無いルールや非公式なルール、暗黙の了解なども見逃せない役割を果たしている。また、国際レジームと呼ばれる国家間の管理システムが作られることもあれば、レジームなしの運用が行われる場合もあるし、企業や市民社会によって主導されるレジームもある。それらの制度を形成・運用する過程には、主権国家だけでなく、国際機構、企業や経済団体、市民社会、科学者なども主要な行為主体として関わる。他方で、国際政治の基本特性である主権国家間の権力をめぐる角逐も、ガバナンス過程で大きな影響を持っている。

グローバル・ガバナンスは、公式の制度で謡われているような中立性や公正性とは程遠い側面も併せ持ち、国民の目に見えないところで非公式に政策決定されている場面も少なくない。かといって、全てが不正な支配体制ということでもない。本書は、ニュースなどでは見えにくいグローバルなシステムを、誰が・何を・どのように動かしているのかに着目して、国際制度論ベースの理論と事例の両面から概観している。特定の国や機関や個人を一方的に非難するのではなく、多元性を活かす創造的な解決策を模索するツールとして、本書を活用していただければ望外の幸いである。

 

国際協力研究科准教授 西谷 真規子

書籍情報

出版社の書籍紹介ページへ
  • 新時代のグローバル・ガバナンス論 
    制度・過程・行為主体
  • 西谷 真規子 (神戸大学大学院国際協力研究科准教授) 編著 
    山田 高敬 編著
  • ミネルヴァ書房
  • 定価:本体3,200円+税
  • 出版年月日:2021年01月
    ISBN:9784623089932
    A5・352ページ

内容説明 (出版社の書籍紹介ページを参照)

この世界は誰が動かしているのか

主権国家を至上主体とするウェストファリア体制の揺らぎが指摘されて久しい。関与主体の多様化はもちろん、争点領域の多様化・複合化とガバナンスの多層化が進展し、今日では開発、人権、保健、環境、資源などの分野で権威所在が多元化した多中心的なグローバル・ガバナンス・システムが出現している。本書は、多主体性、多争点性、多層性、多中心性を特徴とする現代グローバル・ガバナンスを、国際関係論の理論と実例から概説する。

[ここがポイント]

◎ 国連機関等の国際機構、欧州連合等の地域機構、専門家や官僚、NGOや活動家、企業や業界団体は、いかなる活動をしているのか。

◎ 経済・社会・開発、環境・資源、安全保障、情報などの地球的問題について、領域の多様性・複合性と、主体の多様性・多中心性・多層性を解明する。

目次

  • 序 章 現代グローバル・ガバナンスの特徴──多主体性,多争点性,多層性,多 中心性(西谷真規子)
  • 第Ⅰ部 行為主体

  • 第1章 国際機構──グローバル・ガバナンスの担い手?(山田哲也)
  • 第2章 地域機構──グローバル・ガバナンスとの関係性をめぐる3つのイメージ (渡邉智明)
  • 第3章 専門家──知識と政治の相克(山田高敬)
  • 第4章 NGO・社会運動──「下から」のグローバル・ガバナンスを目指して (上村雄彦)
  • 第5章 企 業──グローバル化の中の企業行動の光と影(梅田 徹)
  • 第Ⅱ部 制度と過程

  • 第6章 国際レジーム論の系譜──統合から分散へ(山田高敬)
  • 第7章 国際関係の法化,ソフト・ロー,プライベート・スタンダード──ガバナ ンス手段の多様化(内記香子)
  • 第8章 ガバナンス・モード──グローバル・ガバナンスの変容(西谷真規子)
  • 第9章 ネットワーク──ネットワーク化したガバナンスの特徴と課題(西谷真規子)
  • 第10章 ガバナンスの正統性──正統化の政治と動態(西谷真規子)
  • 第Ⅲ部 グローバル・ガバナンスの現状

  • 第11章 国際開発──新興国の台頭とガバナンス構造の変動(小川裕子)
  • 第12章 人権(労働者,女性,子ども)──人権規範の浸透と多中心化・多争点化 するガバナンス(赤星 聖)
  • 第13章 移民・難民──複雑化する移動とガバナンスの変化(中山裕美)
  • 第14章 腐敗防止──多中心化と大衆化(西谷真規子)
  • 第15章 保健医療──保健ガバナンスの構造と課題(詫摩佳代)
  • 第16章 知的財産権の保護──模倣防止と利用促進の狭間で揺れる国際社会(西村 もも子)
  • 第17章 企業の社会的責任──ステークホルダーの拡大と協働が進めるサステナビ リティ対応(藤井敏彦)
  • 第18章 グローバル・タックス──地球規模課題解決のための革新的構想(上村雄彦)
  • 第19章 貿 易──問題の多様化と利害の交錯(鈴木一敏)
  • 第20章 気候変動──経済・安全保障を巻き込むグローバルな課題(石垣友明)
  • 第21章 天然資源(森林,水産資源)──複合的ガバナンスの取り組み(阪口 功)
  • 第22章 海 洋──変貌する公海自由原則と領域的アプローチ(都留康子)
  • 第23章 軍縮・不拡散および戦略物資規制──理念とパワーバランスが交錯する ルール(石垣友明)
  • 第24章 サイバースペース──深刻化するセキュリティと決定力を欠くガバナンス (土屋大洋)

関連書籍

国際規範はどう実現されるか――複合化するグローバル・ガバナンスの動態

 

(国際協力研究科)