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環境に関する教育・研究と地域連携

環境に関する研究

環境関連物質分析への静電加速器 ( 5SDH-2 ) 応用の取り組み

海事科学研究科教授北村

環境科学、特に海洋関連環境科学においては、物質の化学的分析が中心的な研究手段の一つですが、従来行われてきた手法とは異なった分析手法を用いることができれば、新たな側面から問題を観察・評価し、斬新な解決法を提示する可能性が生じ得るものと考えられます。

元素の定量分析法としては種々の方法がありますが、加速器を用いた分析法は、他の手法がもち得ない非常に大きい長所をもっています。それは、[1] 試料の予備的な化学的調整が不要であり、[2] 非破壊的に、[3] 深さ方向の分布を分析できることです。このような特徴を備えた加速器分析手法を用いることによって、従来とは異なる化学的、物理的条件の下での微量元素の定量が可能になります。

加速器分析法には、Rutherford 後方散乱分光法 ( RBS ) 、反跳粒子分析法 ( ERDA ) 、核反応分析法 ( NRA ) 、そして粒子励起X線分析法 ( PIXE ) があり、分析対象に応じて最適の入射粒子種とエナジーの組み合わせを選択して行われます。中でも NRA は特定の元素の深さ方向密度分布を選択的に測定できるという長所をもっており、PIXE 分析法は極めて多くの元素を一度に定量分析することができるので、極めて広い応用分野を期待することができます。

私たちは本学唯一の加速器 ( http://www.research.kobe-u.ac.jp/fmsc-pbe/www/5sdh2/5sdh2.html ) を多くの分野で役立てて頂こうと、学内外の多くの人に PR し、加速器分析を実施しています。今までに行ってきたのは、( 1 ) 船底防汚剤トリブチルスズ ( TBT ) の PIXE 分析【資料提供:三村治夫教授】、( 2 ) 海底泥土中のボロン定量 ( 11B( p,3α )-NRA ) 【資料提供:岡村秀雄教授】、( 3 ) 含有元素の違いによるニンニクの産地分析 ( PIXE と7Li( p,2α )- NRA ) 【資料提供:福士恵一教授、独立行政法人農林水産消費技術センター神戸センター研究員の博士後期課程研究として開始】、( 4 ) クラゲの分析【資料提供:福士恵一教授】、( 5 ) 植物の葉の PIXE 分析【資料提供:理学部三村徹郎教授】、( 6 ) 高純度炭素中不純物Bの定量 ( 11B( p,3α )-NRA ) 、などです。今後もさらに多くの分野で地域貢献できることを念願しています。

【測定協力:粒子ビーム工学研究室教員 ( 古山雄一准教授、谷池晃准教授 )、及び学生】

加速器分析試料容器
加速器分析試料容器
PIXE 分析スペクトル例
PIXE 分析スペクトル例
 
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