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環境に関する教育研究とトピックス

トピックス

地域の人々とともにつくるビオトープ

人間発達環境学研究科教授サイエンスショップ室長伊藤真之

大学院人間発達環境学研究科の発達支援インスティテュートの一部門として「サイエンスショップ」が設置されており、地域社会の人々の科学にかかわる諸活動や、神戸大学学生の主体的研究活動などへの支援を進めています ( 2008年度環境報告書参照 ) 。サイエンスショップの取組の一つに、地域の児童や保護者、そして学生も参加した小規模なビオトープづくりがあります。2007年8月、鶴甲の発達科学部構内に、縦1メートル、横5メートルほどの池を整備し、地域の植物などを移植しました。

その後、遺伝子の多様性にも配慮しつつ、神戸市および近隣の地域から採取したり、譲り受けたりした生物を導入してきました。また、ショウジョウトンボ,オオシオカラトンボ,クロスジギンヤンマ,ウスバキトンボなどのトンボ類も自然に訪れ、水中には何種かのヤゴも棲んでいます。ビオトープの周辺では、学生や教員、ときには地域の小学生がじっと水面を見つめたり、生き物について言葉を交わしたり、よい憩いの場にもなっています。

2009年3月には、地域の子どもたちから参加者を募り、ビオトープの生物観察会を開催しました。この時点で、植物としては、ヒメガマ、オニビシ、ミソハギ、タチモ、ホタルイ、動物としては、先のトンボ、ヤゴのほか、メダカ、カワバタモロコ、ヒメタニシ、サカマキガイ、モノアラガイなどが観察されました。この中には希少種も含まれます。導入した記録はありませんが、最近体長さ10センチほどのテナガエビが観察されました。スジエビ、ニホンアカガエル、イチョウウキゴケなどは、残念ながら定着しなかったようです。

兵庫県は、2009年に「生物多様性ひょうご戦略」を策定して、生物多様性の保全や「地域性豊かな自然と文化を守り育てる社会」を目指した取組を進めてゆくということです。小規模ですが、発達科学部のビオトープが、市民の皆さまと、神戸大学学生が、地域の生物に親しむ場として、また人と人とをつなぐ場として、役立つことを願っています。

このビオトープは、植物生態学が専門の武田義明教授 ( 人間発達環境学研究科 ) を中心として管理が進められていますが、今後学生の参加も促進し、自然の認識や人と自然の関わり方について、身近な場で体験的に学んでゆく形にしてゆきたいと考えています。

地域の児童が参加してのビオトープづくり
地域の児童が参加してのビオトープづくり
( 2007年8月 )
2009年6月現在のようす
2009年6月現在のようす
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