環境保全推進センターの活動

環境保全推進センターの活動

全学報告会、環境に関する講演会

第9回環境保全推進センター全学報告会

2013年度以前から環境管理センター(現在の環境保全推進センター)で講演会等を実施していましたが、組織の改組に伴い、2014年度からは本学の構成員に対する環境教育に関することや、環境保全に関する調査および研究に関することなど、環境保全活動の推進に一層取り組む体制となり、毎年全学報告会を行っています。

環境保全推進センターが発足して6年となる本年、さらなる全学的な環境保全活動の推進定着が必須となっています。

環境保全推進センターの使命を環境保全推進員などセンター関係者全員に理解いただくのと同時に、全学構成メンバー全員に環境活動の推進・展開にむけた活動方針、活動概要について紹介しました。

日時
2019年11月19日(火)15:30~17:00
場所
神戸大学百年記念館六甲ホール
対象
環境保全推進員、本学教職員や学生を含む参加希望者
内容
担当理事挨拶  環境担当理事  加藤 健
2019年度の活動概要  副センター長  准教授  牧 秀志
センター専門委員会の2019年度の活動概要
 ・環境企画・評価専門委員会  環境企画部門長  教授  三村 治夫
 ・エネルギー専門委員会  環境企画部門長  教授  三村 治夫
 ・環境管理・教育専門委員会  環境管理部門長  准教授  井原 一高
特別講演「SDGsとパリ協定がリードする21世紀」
  国連環境企画・金融イニシアチブ特別顧問  末吉 竹二郎氏
閉会の辞  センター長  教授  竹野 裕正

環境に関する講演会

環境保全推進センターでは、2004年度の環境管理センター発足以来、毎年、学外から講師を招いて、学生や教職員のみならず学外の一般の方も対象とした環境に関する講演会を実施し、環境問題に関する啓発活動を行っています。

2019年度も国連環境企画・金融イニシアチブ特別顧問の末吉竹二郎氏(右写真)をお招きし、「SDGsとパリ協定がリードする21世紀」と題して、ご講演をいただきました。

本講演では、世界的な気候変動が食料供給リスクや生物多様性に及ぼす影響について紹介された他、パリ協定での温暖化防止活動の欧米各国と日本の現状を比較され、日本での活動の遅れや危機感の欠如を指摘されました。

また、金融面からも油田開発や石炭火力開発の融資を停止する流れがあり、ビジネス面からも気候変動リスクが企業リスクになっているとのことでした。

これらはグローバルな対応となっており、国連本部でもSDGs一色であり、世界を変革する指針とされていて、気候温暖化抑制の対応は政治、経済、社会システムの根本的な再編をめざすものとのグローバルな観点でスケールの大きなお話しは、ご来場いただいた方々に大変参考になったとご感想をいただきました。

省エネ設備見学会の開催

環境保全推進センター主催の省エネ設備見学会を2019年11月28日(木)に弓削牧場(神戸市北区)にて実施しました。

参加した学部生16名(農学部10名、海事科学部2名、経営学部2名、経済学部1名、国際文化学部1名)、院生・留学生5名(農学研究科2名、海事科学研究科2名、人間発達環境学研究科1名)、引率の教職員2名は、牧場主及び協力研究を実施中の農学研究科 井原准教授から、都市近郊牧場であるが故の環境対策を起点としたメタン発酵槽の設置や、牧場内で消費するエネルギーとして、バイオガスを利用している実際についての説明を、熱心に聞きました。

メタン発酵で産生したバイオガスはボイラーの燃料として使用し、搾乳時の衛生管理に必要な温水を得るための熱源として活用がされていました。

今回行った見学会実施内容について、参加者にアンケートを行ったところ、20名の学生が適当と回答しました。その他、「エネルギーが循環している様子がよくわかりました」、「神戸大学がどのようにして民間と協力し、実験しているかということがすごくよく分かって、感動しました」、「技術工学的な施設の説明もあった点がよかったです」、「牧場全体として、資源循環の理念を様々なところに落として経営をしていることがわかった点が、よかったです」等、ポイントを押さえたコメントが多数寄せられました。

環境保全と資源循環型経営に、さらなる改善を進めておられる現状を見学することができ、今後とも学生達が弓削牧場の見学を通じて、持続可能な社会や省エネ設備に感心を持ってくれることを期待しています。


メタン発酵槽の説明を聞く参加学生
バイオガスユニット
埋設されたバイオガスユニット
参加学生と意見交換中の牧場主

サステイナブルキャンパス推進協議会への参加と「神戸大学エコバッグ」

2019年次大会(第7回)(全体シンポジウムの状況)

2019年次大会(第7回)(事例発表の状況)

サステイナブルキャンパス推進協議会(CAS-Net JAPAN)は、国内の高等教育機関、行政機関、法人において、サステイナブルキャンパス構築の取り組みを推進し加速させ、かつ、諸外国の活動的なネットワークとも連携し、我が国における持続可能な環境配慮型社会の構築にキャンパスをモデルとして貢献することを目的としていることから、神戸大学も2019年次大会(第7回)に参加し、キャンパスのサステイナビリティに配慮した建築・設備部門、大学運営・地域連携部門、学生活動部門の事例発表や全体討論などで情報収集を行いました。

 

2019年次大会(第7回)
会 場 名古屋大学
日 時 2019年11月23日(土)10:00~17:45
参加者 環境保全推進センター 環境企画部門長
    安全衛生・環境管理統括室 環境企画コーディネーター
    施設部設備課 事務職員2名

 

なかでも、「学生主体のEMS活動とプラスチックストロー廃止実証実験」や、「学生を取り組みの主体に!レジ袋の有料化から考える環境を意識した生活」についての他大学からの事例発表が参考になった他、河川や沿岸域のみならず外洋にまで流れ込む『海洋プラスチックごみ』が日々発生し、地球規模でプラスチックごみを減らす取り組みとして、レジ袋に替わってエコバッグを持参する市民が増えていることから、神戸大学に入学される新入生が「陸の環境」と「海の環境」に高い意識を持ち、プラスチックごみを減らす行動を期待して、「神戸大学エコバッグ」を作成しました。

このエコバッグには、神戸大学のロゴマークと公式マスコットキャラクター「神大うりぼー」が描かれており、綿織物の生地を使用して、日々の携帯性も考慮して折りたためるよう工夫しています。

今後、神戸大学に入学される学生が教科書や専門書、あるいは日用品、食料品などを購入する時に、このエコバッグを使用してもらい、地球規模で深刻化するプラスチックごみ対策を自分事として取り組んでもらうことを期待しています。


神戸大学エコバッグ(全体像)
神戸大学エコバッグ(折りたたみ状況)

環境に関する講義、大学等環境安全協議会

環境に関する講義 ~環境学入門~

地球環境問題は、今や今世紀最大の世界的な課題の一つとなっています。環境問題の多くは、私たち一人一人の普段の社会経済活動に起因し、その解決には個人が環境問題に対する知識や理解を深めてゆくことが不可欠です。そこで環境保全推進センターでは、主に全学の1、2年次の学生を対象に、総合教養科目として環境学入門A・Bを開講しています。

環境学入門Aは主に自然科学の立場から、また環境学入門Bは主に人文・社会科学の立場から、幅広く環境に関する基礎知識とアプローチ方法を講義しています。講義は環境問題に関連する数々のテーマの中から、毎回そのテーマを専門とする教員によるオムニバス形式で行っており、2019年度は環境学入門Aで161名、環境学入門Bで123名の学生が受講しました。

環境に関する講義 ~実験廃液・排水に関する環境教育~

研究活動に伴う廃液・排水の処理に関しては、研究者各自が適切に処理を行うことが求められます。そのため、環境保全推進センターでは自然科学系学部教職員・学生を中心に、実験廃液・排水に関する環境教育を行っています。

2019年度も理学部、農学部、工学部、医学部、大学教育推進機構において、授業や実験実習の一環として廃液・排水処理、廃棄物(ごみ)処理に関しての環境教育を実施しました。神戸市および神戸大学での排水処理の仕組み、実験廃液の廃棄方法、実験器具の洗浄方法について、環境保全推進センターで作成した「環境管理ガイドブック」などを利用し、分かりやすい環境教育を行っています。

環境に関する講義 ~「環境化学」の講義について~

「環境化学」は工学部からの依頼により、工学部応用化学専攻の選択必修科目として例年開講しています。3年生が対象で4Qの開講であるため、受講者は限定されるものの、環境化学に関する知識の習得に熱意のある学生が受講することもあり、出席率は高くなっています。

本講義は環境問題の歴史と現状、そしてそれらの原因について学び、その解決のために必要な法令および環境関連の大気、水質、土壌・地下水、廃棄物などの環境中の試料を分析するための要素技術などについての理解を深めることを目的としています。

環境問題の原点の一つである水俣病をはじめとする幾多の公害病から、近年のグローバル型環境問題に至るまで、化学という学問領域から環境問題を理解する講義を行っています。

大学等環境安全協議会のプロジェクト研究

環境保全推進センターでは、環境保全に関する研究活動も行っています。当センターでは井原一高准教授を研究代表者として、大学等環境安全協議会(大環協)から「大学実験排水からの汚泥エミッション削減に関する研究」と題したプロジェクト研究の採択を頂いています。大環協は、大学等(大学、高等専門学校、大学共同利用機関及び文部科学省所轄機関)の環境・安全マネジメント、安全衛生管理及び環境安全教育に関する運営と教育を充実させることを目的とするものです。参加者は研究者のみならず、技術職員や事務員など広範な大学関係者および産業界関係者です。

神戸大学をはじめとする全国の大学等における実験系排水に含まれる重金属は下水道排除基準に合致していますが、より一層のエミッション削減が求められています。

そこで実験排水系統から排出される重金属排出量低減技術として、永久磁石による汚泥磁気分離法を検討しています。フェライト法とは異なり、加熱操作を必要としない汚泥濃縮分離技術を開発することが目的であり、「汚泥への磁性付与法とその評価法」を基に、2018年度は「対象元素の拡大と除去率の改善」を行い、四三酸化鉄の添加が、実験排水汚泥への磁気シーディング法として有効であることが明らかになりました。