本書は、R.デデキントによる『連続性と無理数』(初版 1972(明治5)年)と『数とは何かそして何であるべきか』(初編1888 (明治21)年)の邦訳です。
付録として、E.ネーターによる『数とは何かそして何であるべきか』の解説(1931(昭和6)年)と、E.ツェルメロの論文、『集合論の基礎に関する研究 I』(1908(明治41)年) の邦訳、および、訳者による書きおろしの『現代の視点からの数学の基礎付け』(2013(平成25)年)を付し、『解説とあとがき』でデデキント2つの著書の数学史の中での位置や、現代の数学や数学の基礎付けの視点から見たときの意義や意味についても論じています。
本書のこれらの付録、特に『現代の…』は、読者が、デデキントの2つの著書を歴史的文献としてだけでなく、これらの著書に続く時代から、現代にまでいたる数学の基礎付けに関する研究の流れを踏まえた視点からも捉えられるよう、そのために必要となる基礎知識を補足する、ということを目的として書き加えたものだったのですが、これらの付録により、全体として、デデキントの著作を軸とした、(現代での) 数学の基礎付けの理論に関する入門書としても読むことができるようなものになったと言えると思います。
システム情報学研究科・教授 渕野昌