本書は、学校教育におけるゆとり教育や入試個性化の、就業後の労働市場における労働者の評価および30年後の研究開発力への影響、家庭教育における子どもの頃の躾、子育て型、誉め方・叱り方が、成人後の子供の成功に与える影響、また、より一般的な日本人の幸福度、行動変容と思考パターンが与える影響についての分析からなります。
終章で、多くの保護者が学校に望んでいる安心・安全と学力の問題を最重要課題として取り組むことによって、児童生徒の暴力を激減させ、学力を向上させてきた大阪市の事例を取り上げています。
経済経営研究所・特命教授 西村 和雄
目次
- 序 章 少数科目入試の罪と罰
- 第Ⅰ部 学力低下の実態
- 第1章 劣化する日本の大学生の数学力
- 第2章 より深刻な理系の学力低下
- 第3章 「ゆとり教育」が弱体化させた研究開発力
- 第Ⅱ部 学校教育は予想以上に人生を左右する
- 第4章 数学ができる人の所得は高い──得意科目と年収比較
- 第5章 格差を拡大させた教育政策
- 第6章 理系は文系より高給とり
- 第7章 物理好きは仕事ができる?
- 第8章 入試制度の多様化は優秀な労働者を生み出せなかった
- 第Ⅲ部 幸福度を高める家庭教育とは
- 第9章 社会的成功をもたらす4つの躾
- 第10章 子育てのスタイルは所得形成、幸福感、学歴にここまで影響する
- 第11章 子供を伸ばす褒め方、叱り方
- 第12章 自己決定する人は幸福度が高い
- 第Ⅳ部 思考と行動のメカニズムを解明する
- 第13章 何が人を動かすのか──行動変容と向社会的意思決定
- 第14章 思考タイプの違いは仕事・学習の能力形成に影響する
- 終 章 教育での実践