内海域環境教育研究センター 准教授 林 美鶴

これまでの環境報告書で、2015年度に津波マリンハザード研究について、2018年度に深江キャンパスでの海洋・気象観測について紹介しました。長期観測の中で、3つの大きなマリンハザードを捉えました。マリンハザードとは海洋での活動や自然環境に災害や影響を及ぼす危険事象で、捉えたのは、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う津波(図1)、2018年9月4日に発生した台風21号による高潮(図2)、及び2022年1月15日フンガトンガ・フンガハアパイ噴火に伴う気圧変化(図3)です。
図1の上段は津波発生日を含む17日間の、下段は津波発生日から翌日正午までの潮位変動です。第一波は地震の3.5時間後、低潮時に到達し、津波の最大値は約50cmでした。図2は、高潮発生日の海面気圧、観測潮位と予測潮位、及びその偏差、すなわち高潮高で、最高値は254cmでした。台風の中心が西側を通過し、風向が南に変化すると共に潮位が急上昇しました。この高潮で深江キャンパスの防潮堤外にある建物の1階が浸水し、高波が防潮堤を越波しました。高潮の詳細は論文(https://doi.org/10.18949/jintransnavi.6.1_19,https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/kernel/81013478/)で報告しています。高潮の動画はサンテレビのYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=Glofj3RMUbs)でご覧いただけます。図3は、噴火後3日半の気圧変化で、音波の一種であるラム波と呼ばれる波動です。これによる津波も発生していますが、深江キャンパスでは検知していません。このようなマリンハザードが海洋環境に与える影響について研究を進めています。


