阪神淡路大震災の経験を受け継ぐ神戸大学の文理連携の研究陣が、東日本大震災被災地における岩手大学他の研究陣との共同研究を踏まえ、インドネシア・中国・トルコ・タイ・フィリピン他の海外執筆陣を迎え、アジアの被災地の内側から災害復興のあり方を問い直す、国際研究協力の成果である。2015年に登場した「仙台減災フレームワーク」が強調した“Build Back Better”のスローガンが、果たして被災者・被災地の安全と生活再建に資する「人間中心」の方向で進むのか、あるいはインフラ開発の称揚に終わるのか、今後の法制度基盤のゆくえを展望する意欲的な研究書である。防災・災害復興に関心を寄せる多くの読者の手に届くことを願っている。
国際協力研究科・教授 金子 由芳