環境に関する教育研究とトピックス [環境に関する教育]

農学部講義「緑の保全」

人口増加と工業化による人間活動の拡大が、環境汚染、資源・エネルギーの枯渇、生態系の劣悪化、オゾン層の破壊、酸性雨、地球温暖化などを招いています。講義ではこのような地球環境危機の現状を解説し、持続可能な社会の構築のためになすべき考え方や解決への方策を提案しています。農学部の学生には一連の講義を通して、人類が地球・自然と共存するための「新しい規範」を考えることを目標にしてもらいたいと考えています。その内容は地球環境の現状、水環境保全、土壌環境保全、栽培環境保全(病気、昆虫、樹木、農薬)、環境保全の合意形成、バイオマスの利用と環境保全、微生物による環境保全・修復、都市緑化、耕うんの歴史と環境保全、孤立林の保全、遺伝資源は誰のもの、持続的作物生産といった項目に分かれており、農学のほとんどの分野の研究が地球の緑の保全に関わっていることを実感してもらいたいと思っています。そのため、講義には農学研究科の各専攻から幅広く講師を選び、15名の教員のオムニバスで行っています。

本講義では農学のさまざまな異なる分野の研究が、いずれも「緑の保全」に深く関わっていることを1年次に農学部学生に十分に学習してもらい、農学研究の意義を入学当初から理解してもらい、将来の農学研究や仕事への動機づけに導きたいと考えています。さらに、農学部で開講する樹木医補資格取得関連講義への動機付けにもなっています。

一方で、この講義は他学部の学生にも人気で、発達科学部や理学部だけでなく経済学部や経営学部の学生さんも多数履修しています。また、外部に向けても開放しており、兵庫コンソーシアムの他大学学生の受講や、高大連携講義にも組み込まれていますので、高校生が聴講することもできます。一度農学部の各研究室のホームページを検索してみてください。きっといずれの研究室も「緑の保全」に関わっていることが分かると思います。

  • 日本の里山景観は1960年代以降に大きく変化し、二次的自然に依存していた生物種の多くが衰退した(前藤)。

    日本の里山景観は1960年代以降に大きく変化し、二次的自然に依存していた生物種の多くが衰退した(前藤)。