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環境に関する教育・研究と地域連携

環境に関する研究

ドイツの環境税について

法学研究科 准教授 島村 健

シュバツルバルトにある大学の施設私は、法学研究科において環境法の授業を担当していますが、2006年10月より、ドイツ南西部にあるフライブルク大学法学部において在外研究をしています。わが国の行政法は、その基礎的な構造や法概念を、ドイツやフランスなどから受け継ぎました。私は、この地で、ドイツの環境法の基礎理論やドイツにおける環境行政の手法を学んだり、近時の法政策・判例の動向を調査したりしています。例えば、私はドイツにおける環境税について関心をもっています。

ドイツにおいては、1970年代から様々な種類の環境税が導入されています。最近の例としては、気候変動防止政策の一環として、化石燃料の消費に対してこれまでの税に上乗せして“エコ税”が課税されています。また、私が住むバーデン=ビュルテンベルク州では、かねてより、地下水・表層水の取水に際して“取水賦課金”と呼ばれる一種の環境税が課されています。税収は、水質の維持や農家への補償支払いのために支出されています。法学的観点から興味深いのは、これらの環境税の是非について、法的な観点から議論が蓄積されていることです。納税者が訴訟を提起し、憲法裁判所において、そのような課税の許否、妥当性が法的な観点から議論されることも少なくありません。日本においては、環境税の導入がどれほど環境保護に資するのか、といった政策論はなされますが、法的な議論の蓄積は薄いといわざるを得ません。たしかに、何から何まで法的に議論し、場合によっては憲法から直接に結論を演繹する、といったことが、社会的な意思決定のあり方として必ずしも妥当とはいえないかもしれません。しかし、法学徒にとって、そのような国で学び、思考することは一種の快楽に属することがらです。

さて、ここフライブルクは、日本においても環境都市として知られています。本当に、ここが環境都市と呼ぶに相応しい都市なのか、ここで申し上げることはいたしません。いずれにせよ、ここは、美しい大学町であり、シュバルツバルトに面した緑豊かなところです。写真は、シュバルツバルトにある大学の施設です。私は、最近、こちらの教授や学生たちとこの施設に滞在し、丸2日議論をする機会を得ました。この建物は、あのハイデッガーも宿泊した由緒ある施設です。

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