本書は,昨今注目を集める「人的資本経営」について書かれた初学者向けのテキストブックです。学部生や大学院生,これから働き始めるビジネスパーソンの方々が学修しやすいよう,各テーマ10ページほどで要点をコンパクトに取りまとめる形で解説されています。
人的資本経営は,従来の人事労務管理が前提としてきた労使二元論,人的資源管理が強調した顧客・消費者を含む三元論をさらに拡張し,株主・投資家をはじめとする多様なステークホルダーが交錯する複合的な経営パラダイムとして捉えられます。加えて,企業価値向上の源泉として従業員を位置づけるだけでなく,エンゲージメント,心理的資本やウェルビーイング,キャリア形成といった従業員の心理的側面に照射することも人的資本経営の大きな特徴です。
本書を一読すれば,戦略や制度・組織のハードな枠組みと個人の内面世界とが結びつき,人的資本経営を単なる管理技法ではなく,企業と働く個々人の双方がともに持続的に成長するための総合的な経営論として理解することができるでしょう。