HOME>> 環境に関する教育・研究と地域連携 >>環境に関する研究:環境に優しいバイオディーゼル燃料生産に関する研究

環境に関する教育・研究と地域連携

環境に関する研究

環境に優しいバイオディーゼル燃料生産に関する研究

自然科学系先端融合研究環長福田秀樹

現在、化石燃料の枯渇や温暖化など、地球規模の様々な問題の早急な解決が求められている。世界中で消費されているエネルギーの多くは石油などの化石燃料、つまり再生できない、枯渇してしまう資源に由来している。そのため、近年それらに変わる新しいエネルギー資源に注目が集まっており、バイオディーゼル燃料 ( BDF ) もそのひとつである。BDF は、バイオマスのひとつである植物油とアルコールからできる、二酸化炭素の量を増やさない燃料であり、化石ディーゼル燃料の代替品として従来のディーゼルエンジンにそのまま使用できる。またその排気ガスには大気汚染の原因となる SOx などがほとんど含まれておらず、環境にやさしいクリーンなエネルギーとしての利用が期待されている。

従来のディーゼル燃料の合成法である化学触媒法では、水酸化ナトリウムのような強いアルカリを触媒として使用するため、原料中の不純物を濾過するプロセスが必要である。また、化学触媒法でのディーゼル燃料合成には多大なエネルギーが必用であり、生産工程で生じる排水の処理も問題となっている。そこで近年、そのような問題点を解決できるディーゼル燃料の生産法として酵素触媒法が注目されている。しかし、酵素の調製に多大なコストがかかるという問題点があり、実用化には未だ至っていない。

そこで我々は、リパーゼを生産する糸状菌という微生物を微生物保持担体 ( BSPs ) に固定化し、そのまま菌体触媒として用いる whole-cell biocatalyst という技術を開発してきた。この菌体触媒を用いることで酵素の調製コストを大幅に削減し、非常に効率よく安価に BDF を生産する方法の開発に成功している。実験室レベルに加えてスケールアップした大きなリアクター ( 反応器 ) においても BDF を効率よく生産するプロセスの開発に成功している。今後、菌体触媒を用いた BDF 生産の実用化へ向けた研究を更に押し進めて行く事で、地球環境問題の解決へ貢献したいと考えている。

菌体触媒
写真1:菌体触媒
菌体触媒調製のためのリアクター
写真2:菌体触媒調製のためのリアクター
 
HOME>> 環境に関する教育・研究と地域連携 >>環境に関する研究:環境に優しいバイオディーゼル燃料生産に関する研究