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環境に関する教育・研究と地域連携

環境に関する教育

農学部共通科目「緑の保全」について

農学研究科副研究科長教授大野

神戸大学農学部は、私達の「生命と生活」を支える基幹産業である農業及び食品等バイオ関連産業に科学的根拠を与える伝統的な学問領域としての農学の振興を使命としてきた。食料・食品生産技術の確立は、農学のもつ不動の使命である。一方、近年、農学の範疇は急速に変化し拡大している。環境保全と両立した持続可能な食料生産基盤の確立、食料生産と環境保全の基礎素材である生物資源の有効活用、及び安全安心な食を通じた健康増進に貢献できる総合・学際科学と革新技術の振興が、21世紀の農学に求められている。

以上の基本認識に基づき、農学部では「農場から食卓まで ( From Farm to Table ) 」をキャッチフレーズに掲げ、「食料」、「環境」、「健康生命」をキーワードとし、これらに関わる諸問題を専門的かつ学際的・総合的な視点で理解し解決する能力の涵養を目指したカリキュラムを編成し、その中で農学部共通科目「食の倫理」及び「緑の保全」を農学部生に必須の倫理観を培うための「導入教育科目 ( 必修 )」として位置づけている。

「緑の保全」の目的は、人口増加と農・工・商業を含む人間活動の拡大が、環境汚染、資源・エネルギーの枯渇、生態系の劣悪化、オゾン層の破壊、酸性雨、地球温暖化などの地球環境問題を引き起こしている現状を理解し、持続可能な社会の構築のための倫理を学び、さらに、人類が地球・自然と共存するための「新しい規範」を考えることである。

本講義は、環境に関する広範な研究を行っている多くの農学研究科・農学部教員が交代で講義するオムニバス形式の授業科目であり、2007年度は、地球環境の現状、土壌環境保全、森林環境保全、水環境保全、農地環境保全 ( 昆虫、農薬 ) 、栽培環境保全 ( 病気、雑草 ) 、農業農村の多面的機能、植物の多様性と保全、環境修復、バイオマス、里山における生物多様性と保全、遺伝資源は誰のもの、という講義内容であった。

毎年後期に開講され、農学部生のみならず他学部生を交えて200名に及ぶ受講生で賑わっている。特に、社会科学系の学部生に好評である。2007年度は経済学部生9名、経営学部生9名、発達科学部生3名などを含む186名が受講した。

 なお、「緑の保全」の内容をまとめた講義用テキスト ( 和文・英文 ) が2007年度に文部科学省の「大学国際化推進プログラム ( 戦略的国際化推進プログラム ) 」経費により出版された。
学生による丹波黒大豆( 篠山市 )の農家支援
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農家支援
学生による里山保全 ( 竹林 ) の実践
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